サラ&ジョン・シュレシンジャー(Sara and John Shlesinger)
拠点:アメリカ・アトランタ
職業:商業不動産業、投資業(CBRE)
収集分野:現代アート
コレクターが大手の美術館に作品を寄贈するようになるのは、収集活動が減速し始めたときであることが多い。しかし、アトランタを拠点とするシュレシンジャー夫妻は例外のようだ。2020年3月、コロナ禍による世界的なロックダウンが始まる少し前、夫妻は個人コレクションから110点の美術品をジョージア大学の美術館に寄贈したことを発表。寄贈品には、ダミアン・ハースト、マイク・ケリー、ダニエル・アーシャム、シャノン・エブナー、デイヴィッド・アルトメジョなど、多様な現代アーティストの作品が含まれている。
同美術館のウィリアム・U・アイランド館長は、学生新聞UGA Todayの取材にこう答えた。「この美術館の目的は、過去25年間にわたる最先端のアートを展示するだけでなく、学生や一般の来場者がそうした作品を理解し、さらにその先へと踏み出す手助けをすることです。このたびシュレシンジャー夫妻のおかげで、私たちはコレクションを拡張することができました。視覚芸術の教育がますます必要になっている今、そのための手段を充実させることができたのです」
寄贈品の1つは、1997年に夫妻が2人で初めて購入したハーストの作品だ。夫妻がコレクション初期に注目したのは、ハーストのようなヤング・ブリティッシュ・アーティストたちだった。
夫妻は、これ以外にも幅広い慈善活動を行っている。ジョンはアトランタのハイ美術館の理事を務めたことがあり、サラは、やはりアトランタにあるエモリー大学のマイケル・C・カルロス美術館の理事とアート21の諮問委員会の委員を務めている。それ以前は、ヴェネチア・ビエンナーレの米国館選考委員、ニューヨーク近代美術館の現代女性基金委員、アトランタのチルドレンズ・ミュージアムの創設理事を務めている。
情報筋がUS版ARTnewsに語ったところによると、コロナ禍でアート界も景気後退の波を受けたが、そんな中でも夫妻は活発な収集活動を続け、キャサリン・フリッチュ、ナサニエル・メリー・クイン、そしてアトランタを拠点とするアーティスト、シャネクア・ゲイなどの作品を購入したという。