フランチェスカ・ティッセン=ボルネミッサ(Francesca Thyssen-Bornemisza)

拠点:スペイン・マドリード
職業:フィランソロピスト(Thyssen-Bornemisza Art Contemporary, TBA21-Academy)
収集分野:現代アート

ティッセン=ボルネミッサ・アート・コンテンポラリーと、TBA21-アカデミーの創設者であるスイスの大コレクター、フランチェスカ・ティッセン・ボルネミッサは、気候変動が大災害を招くリスクに大きな関心を寄せている。彼女はアーティストや様々な分野の思想家を集め、世界の海洋で起きている変化について考えるTBA21-アカデミーについて、こう抱負を語った。「このプロジェクトは私の社会正義に対する思いから始まっています。そして、アートは異なる分野をつなぐ接着剤になり得るものです」

マドリードにティッセン=ボルネミッサ美術館を創設した鉄鋼王、ハンス・ハインリッヒ・ティッセン=ボルネミッサ男爵を父に持ち、カナレットやセザンヌの作品が身近にある環境で育ったフランチェスカは、明らかにコレクターの血を受け継いでいる。彼女が「伝説のコレクション」と呼ぶ収集品には、オラファー・エリアソン、ワリード・ラード、テレサ・ソーラー、ウー・ツァンなど1000点以上の現代アート作品が並ぶ。

「ウィーンのペギー・グッゲンハイム」とも言われる彼女は、2022年に自らの財団をスペインに移転。最近は、スペインのアートコミュニティでの活動に加え、TBA21-アカデミーが提唱する気候変動イニシアティブに注力している。同イニシアティブでは、芸術を活用して集団行動を促進する分野横断的研究の委託プログラムも行っている。

TBA21-アカデミーは、外洋調査船の協力によりアーティストや研究者などを世界に派遣し、地球環境の崩壊を食い止める方法を検討するよう依頼。また、2019年にはヴェネチアの教会を修復し、アーティストのジョーン・ジョナスとの長期的な関係から生まれた作品を展示する「オーシャン・スペース」を開設した。

2022年のヴェネチア・ビエンナーレで、オーシャン・スペースは南アフリカ人アーティスト、ディネオ・セシー・ボパペの大規模なコミッションワークを発表した。同ビエンナーレではまた、ハーマン・メルヴィルの長編小説『白鯨』から着想を得たウー・ツァンの学際的プロジェクトを支援。ティッセン=ボルネミッサはメイン展示に出品されたツァンの《Of Whales》をすぐに自分のコレクションとして入手し、2023年春にはティッセン・ボルネミッサ美術館に展示した。

彼女は、US版ARTnewsにこう語っている。「コレクターである私は、収集した作品を通して、あるいは制作を依頼した作品を通して自分自身を表現することができるのです」

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