ARTnewsJAPAN

ロバート・H・デファレス(Robert H. Defares)

拠点:アムステルダム
職業:金融サービス業
収集分野:現代アート

ロバート・H・デファレスは、1989年にアムステルダムを拠点とするIMC B.V.社を共同設立。以来、電子取引で巨万の富を稼ぎ出し、現在はシカゴ、香港、シドニーにオフィスを構えている。報道陣の前に出たがらないデファレスだが、アート界の慈善活動には惜しみなく資金を提供している。2020年に彼が立ち上げたハートヴィヒ美術財団は、美術品の購入や委託制作を行ってオランダ国家に寄贈し、そこから国内外の文化施設へと提供する方式を取っている。所蔵作家には、アグニエシュカ・クラント、エドガー・カレル、マリアナ・カスティージョ・デボール、メリエム・ベナーニ、モニラ・アルカディリをはじめ、数多くの作家がいる。

アムステルダムを拠点とするこのプロジェクトの立ち上げに際し、デファレスは1000万ドル(約14億6000万円)を投入。今も同プロジェクト最大の支援者である彼は、ウー・ツァン、メレディス・モンク、ジュリアン・クルーゼ、ジョン・アコムフラ、エド・アトキンス、アーサー・ジャファ、アンネ・イムホフなどのアーティストがパフォーマンスや映像作品を制作するのをサポートしている。

また、ニューヨークのパフォーマ・ビエンナーレとパートナーシップを結び、ビエンナーレのキュレーションとリサーチの一環として、2人分のフェローシップ資金を援助。2025年に同ビエンナーレは、ハートヴィヒ財団の後援で、アムステルダムでも部分開催される。

さらに同財団は、アムステルダムの旧裁判所を利用して、野心的な現代美術館を建設中だ。アムステルダム市立美術館の元館長で、財団のアドバイザー兼キュレーターのベアトリクス・ルフがこの施設の指揮することになる。ルフはアートニュースペーパー紙に、新しい美術館はアムステルダムの100年後を見据えたコミットメントであり、「今までこの国にはないもので、コンセプト自体が非常に先鋭的です」と語っている。

デファレス自身はめったにインタビューに応じず、個人的なコレクションについてはあまり知られていないが、おそらくは彼の財団が買い入れている作品と軌を一にするものと思われる。2018年にフォーブス誌は、デファレスの資産を16億ドル(約2300億円)と推定。同誌の世界長者番付にランクインしたオランダ人として最年少の記録を作った。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい