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ロダンとの三角関係を描いた衝撃作。100年の時を経て廃墟からカミーユ・クローデルの彫刻を発見

フランスパリの廃墟から19世紀のフランスで活躍した彫刻家、カミーユ・クローデル(1864-1943)のブロンズ作品が1世紀ぶりに発見された。同作は2025年2年に開催されるオークションに出品される。

100年振りに見つかったカミーユ・クローデルの《La Jeunesse et L’Age Mûr》。Photo: Courtesy of Philocale,Luc Paris

19世紀フランスの彫刻家、カミーユ・クローデルが1895年に発表したブロンズ作品《La Jeunesse et L’Age Mûr(若さと成熟)》が1世紀ぶりに見つかったとアートニュースペーパーが伝えた。発見された場所は、15年間使用されていなかったパリのアパルトマン。この部屋の相続人が家財の目録を作成していた際に、オークション会社フィロカーレの鑑定士マチュー・セモンが見つけた。

クローデルはオーギュスト・ロダンの弟子・愛人としても知られ、ロダンと彼の家政婦ローズ・ブーレを巡る煮え切らない三角関係に悩んで1905年頃から精神を病んでいく。《La Jeunesse et L’Age Mûr》はまさにその渦中にあった頃の作品で、1人の老いた男性を老婆が導いているが、男性の背後には若い女性が跪き、振り返るよう懇願する様子が描かれている。様々な解釈が出来るが、クローデル研究家のアレクサンドル・ラクロワは、老いた男性はロダン、導く老婆は後にロダンの妻となったローズ、跪く若い女性はクローデルだと指摘する。

《La Jeunesse et L’Age Mûr》の台座の裏には署名もある。Photo: Courtesy of Philocale,Luc Paris

《La Jeunesse et L’Age Mûr》は模型が1895年のパリ・サロンに出品され、その後何点か鋳造されたが、現在はノジャン=シュル=セーヌのカミーユ・クローデル美術館、オルセー美術館とロダン美術館に所蔵された計3点しか確認されていない。

今回発見された作品は、1907年に鋳造所経営者で美術商のウジェーヌ・ブロが3分の1の縮尺で砂型鋳造した限定6体のうちの1番目のものであると確定した。クローデル美術館の作品はその3番目のものだ。ラクロワは、他の作品は第2次大戦のドイツ占領下で金属供出のために溶かされた可能性があると話す。同作は、2025年2月16日にオルレアンにあるオークションハウス、フィロケールでオークションにかけられる。予想落札額は150万ユーロから200万ユーロ(約2億4000万円~3億3000万円)。

この作品がなぜ廃墟のアパルトマンにあったのかは分かっていない。ラクロワは、クローデルの再評価が比較的最近のことであることを指摘し、来歴の空白は驚くことではないと説明する。女性芸術家の価値がほとんど認められておらず、精神的な病は隠すべき事とされていた時代、カミーユ・クローデルはあらゆる点で間違った評価をされていたのだ。

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