石棺に眠るのはサンタクロース? トルコで発見された墓に考古学者らも期待
サンタクロースのモデルと言われる、キリスト教の司教、聖ニコラス(270頃‐345)。トルコのアンタルヤ県にある聖ニコラス教会で、彼のものと思われる石棺が発見された。
トルコのアンタルヤ県にある聖ニコラス教会で、サンタクロースのモデルとされているキリスト教の司教聖ニコラス(270頃‐343)のものと思われる石棺が発見された。Ancient Originsが伝えた。
聖ニコラスは、現在のトルコ南西部の町カレに位置する、小アジアの古代都市で生まれた。彼は司教として、船から落ちて命を落とした水夫を甦らせるなど多くの奇跡を起こし、弱いものを助けたとされている。気前の良さと贈り物をする習慣で有名な人物でもあったことから、サンタクロースのモデルとされてきた。彼の死後しばらくして、ビザンツ皇帝テオドシウス2世は彼が埋葬された場所に聖ニコラウス教会を建てるよう命じたが、彼の遺体は11世紀までに掘り起こされ、南イタリアのバーリにあるサン・ニコラ修道院に運ばれた。その後、第1回十字軍の際、ヴェネチアの船員たちが遺骨を運び出し、ヴェネチアのサン・ニコロ・アル・リド修道院の聖堂に安置したという。
聖ニコラウス教会では1989年より発掘調査が行われている。現在はトルコ文化観光省が主導する「未来への遺産プロジェクト」が実施されており、考古学者たちは2年に渡って調査を続けている。最近行われた教会の別館での調査で、チームは約2メートルの地下から、長さ約2メートルの石棺を見つけた。地元の石灰岩で作られており、蓋は切妻屋根の形をしていた。
調査を指揮するハタイ・ムスタファ・ケマル大学のエブル・ファトマ・フィンディク准教授は、聖ニコラスの墓があるとされる教会のすぐ近くで石棺が発見されたため、これは聖ニコラスのものである可能性が高いと考えている。だが現状では石棺の蓋が露出した程度であり、今後数カ月にわたる調査でその詳細を明らかにする計画だ。フィンディクは、「私たちの最大の望みは、石棺に刻まれた碑文を見つけることです。 そうすれば、埋葬の内容が明らかになり、正確な年代を特定することができます」と語った。
石棺を発見するまでの過程で、研究チームは動物の骨やテラコッタのオイルランプのかけらを発見し、この地域が埋葬地として使われていたことをつきとめた。さらなる調査でこの教会の歴史の全容も明らかになるかもしれない。