野生動物保護のためにレンブラントのドローイングが出品! 素描作品の最高落札額更新なるか
レンブラントの素描作品《Young Lion Resting》がオークションに出品されることが発表された。出品者は世界で最も多くレンブラント作品をコレクションしている実業家、トーマス・カプランで、オークションで得た収益は自身が設立した野生動物保護団体に寄付されるという。

レンブラントのデッサン画《Young Lion Resting》(1638-1642)がオークションに出品される。出品者は、レンブラント作品を世界で最も多くコレクションしている実業家、トーマス・カプラン。もしこの作品が落札された場合、素描作品の史上最高落札額を更新する可能性があり、売却して得た利益は自身が設立した野生動物保護団体「Panthera」に寄付するとカプランは語っている。
カプランは「数千万ドル(数十億円)単位」で《Young Lion Resting》を出品することを目指しており、素描作品で歴代最高落札額の記録をもっているラファエロの《Head of Apostle》(1519頃)の4,800万ドル(現在の為替で約69億円)に肩を並べようとしている。だが、最も高い値がついたレンブラントの作品は《Portrait of a Man with Arms Akimbo》(1658)で、落札額は3,220万ドル(約46億円)にとどまっており、希望額で取引されるのは難しいとの見方もある。
カプランは、「私はレンブラントの作品収集以上に、野生動物の保護へ熱量を注いでいます」と、アート・ニュースペーパーに語り、Pantheraへの支援に対する強い思いを示した。
コレクターが慈善活動のために自らの収集品を高値で売りに出すことは珍しい。ただ、カプランが所有する17点のレンブラント作品(個人コレクションのなかでほぼ半数を占める)の市場評価が、間接的に高まる可能性もある。
本作に描かれているライオンは、レンブラントが30代の頃に、鎖でつながれた実物のライオンを観察して描いたと考えられている。レンブラントがこの作品で描いたライオンについてカプランは、「多くの芸術家が描く人間よりも、このライオンには豊かな心情が描かれているのです」と解説する。このライオンは、大英博物館に収蔵されている2点のレンブラント作品にも描かれていると言われている。
《Young Lion Resting》は現在、アムステルダムのH’ART美術館(旧エルミタージュ・アムステルダム)が開催している展覧会、「Rembrandt to Vermeer: Masterpieces from The Leiden Collection」で展示されている。8月24日まで開催されているこの展覧会には、カプランが所有しているオランダ黄金時代に制作された絵画が展示されており、秋にはフロリダへ巡回する予定だ。(翻訳:編集部)
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