サグラダ・ファミリア、2026年の完成が確実に。聖堂につながる巨大階段は2034年までかかる見込み
バルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂が、着工から140年以上の時を経て、2026年に完成すると発表された。完成すれば、ドイツのウルム大聖堂を抜いて世界一高い教会となる。
スペインの建築家アントニ・ガウディ(1852-1926)が1882年に建設を始めたサグラダ・ファミリア聖堂は、それぞれ聖書の登場人物(12使徒と4人の福音書作家、聖母マリア、イエス)を象徴する18の巨大な尖塔で構成される。長い間、完成が待ち望まれていたが、このほど、2025年に聖母被昇天の礼拝堂が完成し、ガウディの没後100年にあたる2026年には、高さ172.5メートルのメインタワー「イエス・キリストの塔」が完成することが発表された。
建設を始めた当時、周囲は広大な農地だったが、教会を中心に街が生まれて発展してきた。サグラダ・ファミリアの建設委員会は、2019年に周辺の約560平方メートルにわたる土地の一部を取得し、長さ57メートル、幅4.9メートルの正面玄関の巨大な階段の設置工事を開始。階段は2つの大きな街区にまたがっているため約1000の住宅や企業を移転させなければならず、周辺住民は現在も激しく反対している。この工事は2034年まで続くと予想されている。
サグラダ・ファミリアの建設工事は、これまでも幾度となく時代の波に翻弄されてきた。1936年にスペイン内戦が始まると、アナキストたちが地下聖堂に火を放ち、ガウディの工房と、後継者たちが作品を完成させるための手引きとして彼が作った石膏模型を破壊した。建築家のLluís Bonet i Garíは、石膏模型の断片を救出し、丹念に修復した。最近では、新型コロナウィルスのパンデミックにより2年間工事が中断され、2026年の完成は難しいと発表されていた。
また、資金不足も工事の遅れの要因だった。マスツーリズムが登場する以前は、信者からの寄付金だけで建設資金が賄われていたために資金繰りの見通しが立たず、多くの人が完成を疑っていた。詩人のジョアン・マラガルは、聖堂を「建築の詩......決して完成することのない神殿は、絶え間なく変化し続ける」と揶揄した。
一方でここ数十年、サグラダ・ファミリアには年間500万人近い観光客が訪れ、その観覧料の累計は1億2500万ユーロ(約204億円)にも上る。その半分強が工事に充てられているが、教会には会計を公表する義務がないため、残りがどのように使われているかは謎のままだ。
工事の経過が見守られる一方で、サグラダ・ファミリアの刺激的なデザインは、クリエイターたちの間で賛否両論を巻き起こしてきた。小説家のジョージ・オーウェルは「世界で最も醜悪な建物のひとつ」と言い、スペイン内戦中に破壊されることを望んだ。対してサルバドール・ダリは、その「恐ろしくて食欲をそそる美しさ」について語り、ガラスドームの中に置くべきだと主張した。