墓の底から1500年前のモザイクが出土。宗教的シンボルが交わるモチーフに謎深まる
2025年3月、トルコのディヤルバクル地区にある共同墓地で埋葬のために地面を掘ったところ、1500年前の細密なモザイク画が現れた。中には八芒星の中にキリスト教の十字架を描いたものもあり、研究者たちは当時の宗教や文化について新たな洞察が得られる可能性があると期待している。

2025年3月8日、トルコ・ディヤルバクルのエルガニ地区の共同墓地で住民たちが埋葬のため墓穴を掘っていたところ、見事なモザイクの床が現れたとArkeonewsが伝えた。
モザイクを発見するやいなや埋葬を中止した住民から通報を受けたエルガニ地方憲兵隊は、すぐにその場所を確保し、ディヤルバクル博物館に連絡。博物館が予備調査を行った結果、歴史的に重要な遺跡に分類されると判断された。その後、考古学者、美術史家、修復家、人類学者からなるチームが3週間にわたる発掘調査を実施すると、35平方メートルにおよぶ、複雑な装飾が施されたモザイク床が現れたという。
研究者たちは、モザイクはおよそ1500年前、ローマ時代後期かビザンチン時代初期のものと推定した。中でも彼らは、八芒星の中にキリスト教の十字架が描かれたモチーフと、モザイクで書かれた古代ギリシャ語による6行の碑文に注目。碑文は現在解読中ではあるが、現段階では、建造物の所有者か建設者によって書かれた「願い事」もしくは「宣言」である可能性が高いという。
このモザイク床を持つ建物について、ディヤルバクル博物館の副館長であるミュジダト・ギズリギョルは、ローマ時代の村落の宗教施設もしくは別荘群の一部だったとみている。
遺跡が見つかったために中断された埋葬は、後日、別の場所で行われたという。今回の発見を受けて、文化財保護委員会は、今後の共同墓地での埋葬は全て遺跡から離れた別の場所で行うよう制定した。
発掘後、遺跡全体は損傷を防ぐために保護材で覆われて封鎖されている。 この地域は古代の都市メマランがあった場所とも言われており、今後の発掘調査によって、トルコの古代の領土アナトリアの宗教的・社会的生活についてさらなる洞察が得られる可能性がある。