夫婦が庭仕事中に掘り当てた大量の金貨、約1億円で落札! 大英博物館が宝物認定

2020年、イギリス・ハンプシャー州の住宅で、庭の手入れをしていた夫婦が土の中からチューダー朝の計70枚の金貨と銀貨を発見。これらが11月5日にオークションにかけられ、46万7215ポンド(約9500万円)で落札された。

夫婦が庭で掘り当てた金貨と銀貨。Photo: BNPS

イギリス・ハンプシャー州のミルフォード・オン・シー郊外の住宅で、庭の手入れをしていた夫婦が土の中から見つけた70枚の硬貨がオークションにかけられたとデイリー・メールが伝えた。

50代の夫婦は2020年4月、自宅の庭で柵の支柱を掘り返していたところ、粘土質の土の塊の中に円盤状の金属片のようなものが混じっていることに気が付いた。それらを洗ってみると、保存状態が非常に良い金貨だった。庭を掘り続けたところ、最終的には64枚にもなった。夫婦は発見を携帯遺物制度(Portable Antiquities Scheme)に届け出た後、硬貨は大英博物館で調査された。その結果、最も古い硬貨は1420年代のヘンリー6世の治世のものだが、大部分は1530年代のヘンリー8世の治世のものであることが分かった。そのうちいくつかには、ヘンリー8世の2人の妻、キャサリン・オブ・アラゴンとジェーン・シーモアのイニシャルが確認できた。

この大量の硬貨は、ヘンリー8世による宗教改革時に、非常に裕福な聖職者が修道院解散を前にして自身の財産を守るために埋めたと考えられている。

夫婦が庭で掘り当てた、ヘンリー6世治世のコイン(1422-1461)Photo: Courtesy David Guest Numismatics
エドワード4世治世のコイン(1471-1483)Photo: Courtesy David Guest Numismatics
ヘンリー8世治世のコイン(1509-1544)Photo: Courtesy David Guest Numismatics

大英博物館は2021年に硬貨を宝物として認定したが、パンデミックによる予算凍結により博物館は購入を断念。所有権は発見主であり土地所有者でもある夫婦に戻された。イギリスの法律では、宝物が解放されると持ち主はそれらを自由に売ることができる。

こうして11月5日の夜、スイスのチューリッヒで開催されたデイヴィッド・ゲスト・ヌミスマティクス社によるオークションに硬貨が出品された。最高額で売れたのは1536年のジェーン・シーモアのイニシャルが入ったクラウン金貨で、コインの世界記録となる1万7000ポンド(約340万円)で落札。次いで高額だったのは、片面に聖ミカエルが竜を槍で突く姿、反対面にチューダー朝の船が描かれたヘンリー8世の金貨「エンジェル」で1万5000ポンド(約300万円)だった。計70ロットは全て落札され、総額は46万7215ポンド(約9500万円)となった。

デイヴィッド・ゲスト・ヌミスマティクスの代表であるデイヴィッド・ゲストは、デイリー・メールの取材に対して、今回のオークションを次のように評した。

「オークションにはかなりの関心が寄せられ、達成された総額は予想落札価格のほぼ2倍でした。人々は埋蔵された宝物を見つけるスリルある物語が大好きなのです。硬貨の品質と保存状態の良さも重要な要素でした。これらの金貨は売主にとって夢のような発見であり、オークション結果は宝くじに当たったようなものです」

発見主の夫婦は今回の結果に「驚き」、「衝撃を受けた」という。そしてデイリー・メールに「硬貨を発見して以来、多くの専門家に会って硬貨について学び、並外れた旅をしてきました」と語った。

夫婦は、臨時収入の一部を素敵な休暇と、自宅に置くスヌーカー(イギリスで盛んなビリヤードの一形態)用テーブル購入に使う予定だという。

あわせて読みたい