盗難を恐れ3日間車中泊! 金属探知機愛好家、6時間かけてローマ時代の硬貨1万5000枚を発掘

北ウェールズで金属探知機愛好家が地中からローマ時代の硬貨1万5000枚が入った壺を探し当てた。イギリスで発見されたローマ硬貨の中では、2010年に見つかった5万2500枚に次ぐ規模となる。

北ウェールズで発見された、ローマの硬貨が詰まった壺。Photo: Facebook/Minelab Metal Detectors

イギリスのチェシャー州チェスターに住む10年来の金属探知機愛好家、36歳のデイヴィッド・モスが、北ウェールズでローマ時代の硬貨1万5000枚を発見したとデイリー・メールが伝えた。

モスはその日、雨の中友人のイアン・ニコルソンと金属探知機で探索しており、夕方が近づいて諦めようとした時に探知機が反応した。地中を掘ると素焼きの壺2個が現れた。2人は、すぐにこの発見を土地所有者に伝えた後、専門家の指導を受けながら6時間かけて壺を慎重に掘り起こした。壺の中を見ると硬貨がぎっしり詰まっていた。

モスは2つの壺と共にチェスターの自宅に車で戻ったが、硬貨の盗難を恐れて3日間車中で壺と共に寝、その後4時間車を運転して壺をカーディフ国立博物館の専門家に届けた。

デイヴィッド・モスと壺。Photo: Facebook/Minelab Metal Detectors
イアン・ニコルソン(写真左)とデイヴィッド・モス。Photo: Facebook/Minelab Metal Detectors
見つかった壺と金属探知機。Photo: Facebook/Minelab Metal Detectors

南ウェールズ・モンマスシャー貨幣学会の会長であるアンソニー・ハルスは、BBCの取材に対し、今回見つかった壺には古代ローマ時代の硬貨が最大1万5000枚入っており、イギリスで最大級の硬貨の発見だと語った。またハルスは、この硬貨はローマ軍の兵士の財産で、何らかの脅威から守るために地中に埋められた可能性があると説明した。カーディフ国立博物館は今後硬貨を調査し、埋められた時期などを特定する予定だ。

ハルスは、硬貨の今後について、「博物館は、これほど大規模な宝物であるため大英博物館で所蔵できるか申請するでしょう」と語った。それが上手く行けば、宝物評価委員会が硬貨の評価額を割り出し、発見者が半分、残りの半分を土地所有者が受け取るのだという。過去、2010年にイギリス・サマセット州の畑で5万2500枚のローマ硬貨が発見されたケースでは、32万250ポンド(現在の為替で6400万円)の値が付けられている。

モスはデイリー・メールの取材に、発見場所の詳細については明かしたくないとしながらも、北ウェールズの「事実上手つかずの」場所と表現した。彼はこの発見について、「金属探知機が検知する数分前に虹が現れたのです。粘り強さが報われました。私たちが発見したものは、私が夢見たものをはるかに超えていました」と話した。

あわせて読みたい