アート・バーゼル・パリのディレクター、仏有名百貨店の展示施設へ移籍。フェア後任は未定

アート・バーゼル・パリのディレクター、クレマン・ドレピーヌが、国際的アーティストを紹介する意欲的な展覧会で知られるラファイエット・アンティシパシオンの次期ディレクターに就任することが発表された。ドレピーヌは、フェア終了後の11月17日から就任予定。

Clement Delepine
アートバーゼル・パリを去ることが発表された、クレマン・ドレピーヌ。Photo: ©Bettina Pittaluga

パリの注目の展覧会施設、ラファイエット・アンティシパシオン(Lafayette Anticipations)は、アート・バーゼル・パリのディレクターを務めるクレマン・ドレピーヌを次期ディレクターに迎えることを発表した。ドレピーヌは、ラファイエット・アンティシパシオンの「次のステージ」を描く任務を担う。

プレスリリースによれば、過去6年間同施設のディレクターを務めてきたレベッカ・ラマルシュ=ヴァデルは、「新たな個人的かつ職業的挑戦に取り組むことを選んだ」という。

ドレピーヌの新ディレクター就任は、今年のアート・バーゼル・パリの開催後の11月17日。アート・バーゼル・パリは、VIPプレビューとなる10月22日(一般は10月24日)から26日まで開催される。なお、ドレピーヌの後任は、現在選定が行われているという。

ラファイエット・アンティシパシオンはパリの象徴的な百貨店、ギャラリー・ラファイエットの非営利財団として2012年に設立され、国際的に注目されるアーティストを紹介する意欲的な展覧会プログラムで知られる存在となった。近年では、マルティーヌ・シムズ(Martine Syms)、イッシー・ウッド(Issy Wood)、シプリアン・ガイヤール(Cyprien Gaillard)、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)、ウ・ツァン(Wu Tsang)などの展覧会を開催している。施設は現在、パリのマレ地区にある19世紀の産業建築を利用しており、2018年にレンゾ・ピアノとOMAによる改修を経てオープンした。

ラファイエット・アンティシパシオンの会長でありギャラリー・ラファイエット創業者の曾孫でもあるギヨーム・ウゼは、声明でこう述べている。

「過去6年間にわたり財団を率いてきたレベッカ・ラマルシュ=ヴァデルには心から感謝しています。彼女のエネルギー、ビジョン、そして努力がプログラムの形をつくり、ラファイエット・アンティシパシオンのパリおよび国際的な文化舞台における独自の地位構築に寄与しました。クレマン・ドレピーヌの就任は、現代の創造活動を支えるラファイエット・アンティシパシオンにとって刺激的な新章の始まりを意味します」

ドレピーヌは、アート・バーゼルがフランスでの新たなフェア開催を発表し、長年のフランス・フェアであるFIACからグランパレの10月開催枠を取得した数か月後の2022年3月、アート・バーゼル・パリのディレクターに就任した。当初、新フェアは「パリ・プラス(Paris+, par Art Basel)」と名付けられたが、後に「アート・バーゼル・パリ」に改称された。

当時、パリ・プラスは、香港マイアミ・ビーチ、バーゼルで開催される他のアート・バーゼルよりも野心的な都市全体プログラムを展開し、ファッションやデザインから映画、音楽までの文化産業間で「ダイナミックな対話」を生むことを目指していた。その野心が完全に実現することはなかったが、パリの主要美術館は、フェアの開幕時期にあわせて最重要展覧会を開催している(単に10月中旬という時期的要因による可能性もある)。

アート・バーゼルのCEO、ノア・ホロウィッツは声明の中で、「クレマン(・ドレピーヌ)のラファイエット・アンティシパシオンのディレクター就任を心より祝福します。彼の活力あるリーダーシップとビジョンは、わずか3年でアート・バーゼル・パリを国際的に強固な存在に押し上げる原動力となりました。次なる章への挑戦にあたり、心からの成功を祈っています。来月のパリ開催に向けて、クレマンおよびチームとともに万全の準備を進め、世界中のクライアントの期待に応え続けます」と述べた。

ドレピーヌはアート・バーゼル・パリに参画する前の2016年から2021年まで、ギャラリー有志により2015年に設立された独立系フェア「Paris Internationale」を率いていた。また、ニューヨークのボルトラーミ・ギャラリーおよびスイス・インスティチュート(いずれもニューヨーク所在)でディレクターを務めた経験もある。

ドレピーヌは声明で、今後の抱負と関係者への感謝をこう述べている。

「ラファイエット・アンティシパシオンに参加し、レベッカ・ラマルシュ=ヴァデルの後任を務められることを非常に光栄に思います。わたしは過去6年間、レベッカのビジョンを尊敬してきました。この施設には強い愛着があり、ギヨーム・ウゼが私に寄せてくれた信頼に感謝しています。フランスおよび国際的な美術シーンにおける独自の地位をさらに確立していくことを楽しみにしています。アート・バーゼル・パリを率いた経験は大きな特権であり、ノア・ホロウィッツ、ヴィンチェンツォ・デ・ベリス、そしてアートバーゼルの全チームに深い感謝の意を表します」

from Artnews

あわせて読みたい