ルーヴル美術館に現れた「時の彫刻」──ヴァシュロン・コンスタンタン、270年の到達点
創業270年を迎えたヴァシュロン・コンスタンタンが、その歴史の結晶と言える天文時計「ラ・ケットゥ・デュ・タン(時の探求)」を完成させた。発表の舞台となったのはルーヴル美術館。18世紀啓蒙思想の精神を受け継ぐ「時の彫刻」は、いま私たちに何を問おうとしているのか。
Photo: Stephane Sby Balmy
クリスタルのドームには、創業年と270周年が記されている。Photo: Stephane Sby Balmy
「La quête du temps(ラ・ケットゥ・デュ・タン=時の探求)」を象徴するオートマタ(からくり人形)は、スイスにおけるその第一人者であるフランソワ・ジュノーが手がけた。Photo: Stephane Sby Balmy
作品を起動すると、下部の音楽装置が奏でる美しい音(3パターンの旋律が組み込まれている)が時を刻む音に重なり、オートマタが優美に動き出す。Photo: Stephane Sby Balmy
腰を屈めたり、腕を上げ下げしたり、顔を横に向けたりする一連のシークエンスは約80秒。動作の最後には、腕が片方ずつ、ドームに記された時・分の目盛りを指して現在時刻を示す。Photo: Stephane Sby Balmy
ラピスラズリやマザーオブパール、ダイアモンドを贅沢に用い、単なる時間を伝える機械ではなく、時間という概念を科学的・哲学的・美的に体現する唯一無二の装飾芸術品へと昇華することに成功している。Photo: Stephane Sby Balmy
心臓部である時計部分。12時位置に設られたトゥールビヨンや、パーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)、レトログラード式の時・分の表示、ジュネーブの太陽と月の出没時間、星座など、合計19もの複雑機構が搭載されている。Photo: Stephane Sby Balmy
時計の背面には、ジュネーブ天文台の天文学者の協力を得て制作された天体図を搭載。季節ごとのジュネーブの夜空を正確に示す。Photo: Stephane Sby Balmy
オートマタ、時計部分、音楽装置からなる「ラ・ケットゥ・デュ・タン」は、合計6293個にもなる機械部品、23種類もの複雑機構で構成されている。Photo: Stephane Sby Balmy
ヴァシュロン・コンスタンタンが修復を支援し、ルーヴル美術館とのパートナーシップのきっかけとなった「天地創造」。Photo: Yuji ONO
9月16日に開催されたプレスカンファレンスの様子。イギリスの歴史家・作家でありオートマタや時計製造に精通するニコラス・フォルケス(左)を司会に、ルーヴル美術館デコラティブアート部門ディレクターのオリヴィエ・ガベ(左中)、フランスの物理学者であるクリストフ・ガルファール(右中)、ヴァシュロン・コンスタンタンのスタイル・アンド・ヘリテージ・ディレクターを務めるクリスチャン・セルモニ(右)が「時」と「芸術」について語り合った。Photo : Stephane Sby Balmy
ガラディナーは、ルーヴル美術館を象徴するガラスのピラミッド下の空間で開催された。
ディナー前後には、ダンサーたちが時をテーマにパフォーマンスを行った。