オークランド美術館で1000点超の盗難。過去15年間で3度目、米文化遺産の深刻な損失

カリフォルニア州オークランドにあるオークランド・ミュージアム・オブ・カリフォルニア(OMCA)の収蔵庫から1000点以上の文化財が盗まれ、FBIが捜査を進めている。

Courtesy Oakland Museum of California
盗難されたOMCA所蔵の文化遺産。Photo: Courtesy Oakland Museum of California

今月初め、カリフォルニア州オークランドにあるオークランド・ミュージアム・オブ・カリフォルニア(OMCA)のコレクションから1000点以上の収蔵品が盗まれていたことが明らかになった。サンフランシスコ・クロニクル紙が報じた。

窃盗事件が起きたのは、10月15日午前3時30分ごろ。単独、もしくは複数からなる窃盗犯がOMCAの別棟保管施設に侵入し、宝飾品、貴金属や真珠、ネイティブ・アメリカンの籠や道具、アンティークのダゲレオタイプ写真、政治的バッジなどのエフェメラ(一次的な印刷物)を含む多数の文化遺産を盗んだ。さらに、ノートパソコンやカメラも持ち去られたという。犯人がドアから侵入した形跡はなく、犯行時、現場に警備員はいなかった。

オークランド警察およびFBI美術犯罪チーム(約20名の捜査官で構成)による捜査は今も続いているため、被害を受けた施設の場所など事件に関する追加の詳細はまだ公表されていない。当局によれば、捜査への影響を避けるため盗難発表は意図的に遅らせたという。

盗難されたOMCA所蔵の文化遺産。Photo: Courtesy Oakland Museum of California
盗難されたOMCA所蔵の文化遺産。Photo: Courtesy Oakland Museum of California
盗難されたOMCA所蔵の文化遺産。Photo: Courtesy Oakland Museum of California
盗難されたOMCA所蔵の文化遺産。Photo: Courtesy Oakland Museum of California

現在は警備員を含む限られた職員のみが当該施設での勤務を許可されている。職員は容疑者として捜査されておらず、事件に関連して逮捕者は出ていない。

被害に遭った約9300平方メートルの倉庫には200万点を超える歴史的遺物が保管されており、その多くがOMCAへの寄贈品だ。

OMCA館長のローリー・フォガティはサンフランシスコ・スタンダード紙の取材に対し、「これは私たちが共有する文化遺産です」と非難し、こう続けた。「当館のコレクションの大部分は寄贈によって成り立っており、私たちは、それを公共と地域社会の利益のために保存する責任を担っています。だからこそ、この事件を地域社会に共有し、協力を呼びかけたいのです」

オークランド・ミュージアム・オブ・カリフォルニアの外観。Photo: Michael Macor/The San Francisco Chronicle via Getty Images

OMCAは過去15年の間に、今回を含めて3度の窃盗被害を受けている。2012年と2013年には2件の大規模な盗難事件が発生し、実行犯であるアンドレ・タレイ・フランクリンは有罪判決を受け、4年の禁固刑に処された。

現在OMCAは、アート、歴史、自然科学の分野を横断する幅広いコレクションを展示しており、約1万平方メートルもの敷地にギャラリーを構えている。

from ARTnews

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