フリーダ・カーロの名を冠した高級コンドミニアムが販売開始。商業化は本人の信条に反するとの声も

昨年11月のオークションで女性アーティスト作品の史上最高額を塗り替えたフリーダ・カーロ。そのライセンス権はさまざまな商品分野でマーケティングに利用されているが、新たに「フリーダ・カーロ ブランド」の高級住宅がマイアミで分譲を開始した。

フリーダ・カーロ・ウィンウッド・レジデンスの完成予想図。側面にカーロの肖像が描かれている。Photo: ARX Creative

フロリダ州マイアミで、フリーダ・カーロの名を冠した高級コンドミニアムの販売が開始された。ただし着工はまだ先の予定だ。パリのオペラ・バスティーユを手がけた建築家、カルロス・オットの設計によるこの物件の販促資料には、「フリーダ・カーロの表現力豊かな精神にインスピレーションを得た」と謳われている。

フリーダ・カーロ・ウィンウッド・レジデンスと名付けられた14階建てマンションの完成予想図では、側面にカーロの巨大な肖像が描かれている。インテリアはニュートラルで落ち着いた色調でまとめられており、同じ敷地に8階建ての2棟目が建設予定だという。共同開発者のPMGリアルエステート・アソシエイツとランドマーク・デベロップメントは、完成予定を2028年としている。ちなみに、マイアミのウィンウッド地区は、壁画が並ぶアート散策エリアとして人気が高い。

分譲されるのはスタジオタイプから3ベッドルームタイプまでの家具付き住宅244戸で、ラウンジエリアとバーを備えた屋外プール、フィットネスセンター、サウナ、スパトリートメントルームなどの付帯施設も計画されている。価格帯は約50万ドルから160万ドル(約7800万〜約2億5000万円)と高価ではあるが、フリーダ・カーロの最高額作品《El sueño (La cama)(夢 [ベッド])》(1940)には遠く及ばない。この自画像は昨年、サザビーズニューヨークで女性作家の最高落札額記録を大幅に塗り替える5470万ドル(約86億円)で落札された。

コンドミニアムの建設は、フリーダ・カーロの姪であるイソルダ・ピネド・カーロ、その娘マリア・クリスティーナ・ロメオ・ピネド、そしてベネズエラの実業家カルロス・ドラドが設立したフリーダ・カーロ社の承認を得て進められている。高級不動産情報メディアのマンション・グローバルによると、カーロの肖像権や商標権、ライセンス権を管理し、厳しい法的姿勢で知られる同社が、コンドミニアム向けに厳選したアートコレクションのほか、飲食サービスやプールまわりの施設の監修も行う。

フリーダ・カーロ社COOのベア・アルバラードはアート・ニュースペーパー紙に対する声明で、「フリーダ・カーロは壁に飾られるためだけに存在したのではありません。彼女のような人生を送ることが大事なのです」と述べている。

同社は近年、さまざまな分野での協業を積極的に進めている。たとえばファストファッション大手のシーインや、カーロをモデルにしたバービー人形を発売したマテル社とのコラボなどだが、バービーとのコラボはカーロの遺族間で法的な争いに発展した。さらに、高級品や一般消費者向け商品に幅広くカーロブランドのライセンスを与える同社の姿勢は、共産主義を信奉していたカーロを商業化するものとして批判されてきた。

今回の物件開発もソーシャルメディアですでに非難の声が上がっており、販売開始のニュースに対する「魂がこもっていない」、「味気ない」などのコメントが見られた。あるユーザーはこう意を唱えている。

「フリーダ・カーロのレガシーとは美的にかけ離れたものだ。熱心な共産主義者だったカーロは、この計画の全てを嫌悪したことだろう」(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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