ロエベがプラド美術館・保存修復チームの作業用コートをデザイン。職人技術への敬意をかたちに
クラフトの重要性の認知拡大や支援を積極的に行ってきたスペイン発のブランド、ロエベが、プラド美術館が所蔵する名画の保存修復を担うチームのために、作業用コートをデザインした。
スペイン・マドリード創業のラグジュアリーメゾン、ロエベは、地元のプラド美術館の保存修復部門のためのラボコート(作業用コート)をデザイン・提供した。アートネットが伝えた。
日々粉塵や絵の具と接する同館の修復家にとって、ラボコートは「第二の肌」と呼ばれるほどの必需品だ。デザインを手がけたのは、ロエベのクリエイティブ・ディレクター、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデス。彼らは2025年にプラド美術館の修復工房を訪れ、修復家たちの仕事について学んだという。
ベラスケス《ラス・メニーナス》(1656)やヒエロニムス・ボス《快楽の園》(1490–1500)などの重要作品を所蔵する同館では、ミリ単位の精緻な修復作業が求められることもある。その際、衣服から生じるわずかな光の反射すら作業の妨げになりかねない。一方で、大型のキャンバスに身を乗り出し、長時間にわたり足場や作業台の間を行き来する工程も日常的に発生する。そこで布地には光を反射しにくい高品質素材を採用し、軽量でありながら耐久性に優れた仕様とした。また、筆や道具を安定して収められるよう、レザーで補強されたポケットも特別に開発された。
マッコローとヘルナンデスは、今回のデザインについて次のように語っている。
「修復家たちの作業を観察することは、彼らの仕事に内在する高度な技術、忍耐、そして歴史的責任の深さを知る貴重な機会でした。新たなラボコートの制作は、彼らの献身、専門性、そして生き続けるクラフトの遺産に対する、ささやかな敬意の表明です」
ロエベは、今後もロエベ財団を通じて毎年ラボコートを同部門に提供する予定だ。
ロエベ財団とプラド美術館の関わりは今回が初めてではない。両者は2023年に開始されたレジデンシープロジェクト「Writing the Prado」を共同実施してきた。同プロジェクトは、著名な作家を招いて美術館のコレクションや歴史と向き合ってもらい、そこから着想を得たテキストを発表する取り組みだ。執筆作品はスペイン版グランタ誌に掲載されるほか、書籍シリーズとしても刊行されている。これまでノーベル文学賞受賞者のJ・M・クッツェーやオルガ・トカルチュクらが参加してきた。





