今週末に見たいアートイベントTOP5:ダニエル・ビュレンが新シリーズを発表、W. ユージン・スミスのNY「ロフト」時代
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と(資生堂ギャラリー)
仲條デザインの真髄に迫る
日本のグラフィックデザインを代表するデザイナー、仲條正義(1933-2021)の展覧会。仲條は資生堂宣伝部を経、株式会社デスカに入社。フリーとなり、1961年に仲條デザイン事務所を設立。松屋銀座、東京都現代美術館のロゴデザインをはじめ、資生堂とは、同社の企業文化誌「花椿」のアートディレクション、資生堂パーラーのパッケージなどや多くの仕事を手がけてきた。2000年代以降にコンピューターによるグリッドシステムが定着するなかでも、仲條の作品は手描きの線や自由な構成によって独自のリズムを生み出してきた。
没後5年の節目に開催される本展は、仲條と資生堂が歩んだ膨大な作品のなかから化粧品広告やパッケージ、イラスト原画など約200点を厳選して紹介する。また会場には、仲條がアートディレクターを務めた「花椿」約350冊のバックナンバーを閲覧できるライブラリーも設置される。「デザインはうたになる方を選ぶ」という仲條の言葉が示すように、文字と画が自由に躍動するデザインの魅力を改めて体感できる機会となる。
うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と
会期:3月3日(火)〜6月28日(日)
場所:資生堂ギャラリー(東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1F)
時間:11:00〜19:00(日祝は18:00まで)
休館日:月曜
2. 特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」(細見美術館)
101歳を迎えた志村ふくみの創作を網羅
紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)であり、随筆家としても知られる染織作家・志村ふくみの個展。滋賀県生まれの志村は、31歳の時に母である小野豊の指導で植物染料と紬糸による織物を始め、以来70年にわたって色彩と自然への深いまなざしを織物に込め続けてきた。101歳を迎えた現在も、美しいものを手に取りながら穏やかな日々を過ごし、自然や色彩への探究を続けている。
同館では3回目の個展となる本展は、3章構成で表現の軌跡を辿る。第1章「源氏物語の世界」では、志村が70代半ばから手がけてきた源氏物語をテーマにした連作を紹介。第2章「沖宮の世界」では、作家・石牟礼道子が遺した新作能「沖宮」で使われる装束6領全てが並ぶ(展示替えあり)。第3章「志村ふくみの世界」では、長年の制作で生まれた残り布や端切れを使って生み出したコラージュ作品を展示。高村光太郎の詩に感動して筆をとり、小裂で飾った《五月のウナ電》や着物の雛形、裂帖などを通じて、その豊かな創造の世界を探る。
特別展「志村ふくみ 百一寿 ―夢の浮橋―」
会期:3月3日(火)〜5月31日(日)※前期:〜4月12日(日)、後期:4月14日(火)〜5月31日(日)
場所:細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
時間:10:00~17:00
休館日:月曜(5月4日を除く)、5月7日
3. シャルロット・デュマ「声が届いて / 絵筆を手にとって」(小山登美夫ギャラリー京橋)
象の記憶から始まる家族の物語
1977年オランダ生まれ、アムステルダムを拠点に活動する写真家シャルロット・デュマは、馬や犬など人間と深く関わってきた動物を題材に、その歴史や文化的な位置づけを丁寧に観察しながら作品を制作してきた。2020年には銀座メゾンエルメスフォーラムでの個展も話題を呼び、日本との関係も深い。
本展では、象と父親との記憶を主題とする新シリーズ「Entendue(声が届いて)」と、新作映画「The Brush in your Hand(絵筆を手にとって)」を発表する。幼い頃、父ピーターと動物園で象のスケッチを描いた記憶を出発点とし、父のカメラで撮影された象のモノクロ写真を中心に構成されるシリーズだ。映画作品では、作家自身と父、そして娘という三世代を軸に、家族の記憶と創造性の継承をめぐる物語が描かれる。私的な記憶を起点としながらも、家族や動物という普遍的なモチーフを通じて、見る者の感情に静かに響く作品群となっている。
シャルロット・デュマ「声が届いて / 絵筆を手にとって」
会期:3月7日(土)〜4月11日(土)
場所:小山登美夫ギャラリー京橋(東京都中央区京橋1-7-1)
時間:11:00〜19:00
休館日:日月祝
4. ダニエル・ビュレン「Third Eye, situated works - 知覚の拡張—そこにある眼差し」(SCAI THE BATHHOUSE)
視覚のルールを書き換えるインスタレーション
1938年フランス生まれのダニエル・ビュレンは、1960年代から現在まで活動を続けるコンセプチュアル・アートの代表的作家だ。幅8.7センチのストライプを視覚言語として用いる作品で知られ、パリのパレ・ロワイヤル中庭の《Les Deux Plateaux(2つの台地)》など、空間そのものを問い直すサイトスペシフィックな作品で世界的に高い評価を得てきた。
本展では、新シリーズ「Prismes et mirroirs : Haut-relief」を発表する。鏡面の支持体の上に、凸状のプリズム形状に彩色されたパーツが配置され、周囲の空間や鑑賞者の姿を取り込みながら、作品と環境の関係を可視化する構造となっている。正面に立っても自分の全身像が現れないという仕掛けは、視覚のあり方そのものを問い直す。ビュレンはかつて京都で日本庭園の「借景」の思想に触れ、制作概念を深めたという。本展は、その視覚と言語の探究を現在の文脈で提示する試みでもある。
ダニエル・ビュレン「Third Eye, situated works - 知覚の拡張—そこにある眼差し」
会期:3月17日(火)〜5月16日(土)
場所:SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中6-1-23)
時間:12:00〜18:00
休館日:日月祝
5. W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代(東京都写真美術館)
「ロフト」時代を起点にユージン・スミスの創作を概観
アメリカの写真家W. ユージン・スミスは、「ライフ」誌のフォトジャーナリストとして第2次世界大戦の現場を取材し、その後も『カントリー・ドクター』や『水俣』など、社会の現実に迫るフォト・エッセイで知られる。複数の写真と文章によって物語を構築する表現は、写真ジャーナリズムの歴史に大きな影響を与えた。
本展は、スミスが1954年に「ライフ」を離れた後、ニューヨーク・マンハッタンの通称「ロフト」で過ごした時期に焦点を当てる日本初の展覧会だ。ロフトにはセロニアス・モンクやマイルス・デイヴィスらのジャズ・ミュージシャン、さらにはロバート・フランクやダイアン・アーバスなど多くの写真家が集い、芸術家たちの交流の拠点となっていた。
会場では、マンハッタンの街並みを定点的に記録した《私の窓から時々見ると…》や、ジャズ・セッションをブレやボケなどの実験的手法で捉えた《ジャズとフォークのミュージシャンたち》などを展示。また、アリゾナ大学センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー所蔵の資料をもとにロフトの壁面を再現し、スミスの創作の軌跡をたどる。
W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代
会期:3月17日(火)〜6月7日(日)
場所:東京都写真美術館 2階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間:10:00〜18:00(木金は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(5月4日を除く)、5月7日
































