DOGEによる補助金取り消しは「違憲」──米地裁、「表現の自由の侵害」として撤回命令
米連邦地裁は、政府効率化省(DOGE)が全米人文科学基金(NEH)の承認済み補助金を取り消した措置を違憲と判断し、同省に撤回を命じた。判決では、表現の自由の侵害や研究活動への影響が指摘された。

イーロン・マスクが主導した政府効率化省(DOGE)が、全米人文科学基金(NEH)によって承認された1400件以上の補助金を取り消した問題をめぐり、連邦裁判所の判事はDOGEの判断を違憲とする判決を下した。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、マンハッタン連邦地方裁判所は、学術団体や個人の補助金受給者ら原告側の訴えを認め、DOGEに補助金取り消しの撤回を命じたという。原告側は2つの訴訟で、DOGEによる補助金取り消しについて、「表現の自由を不当に侵害するものであり、特定のグループに関連するプロジェクトを標的にする行為は、憲法が保障する法の下の平等にも反する」と主張していた。判事は今回の判決文で、次のように記している。
「被害は資金の喪失にとどまらない。憲法で保障された表現の自由の侵害に加え、進行中の研究や出版の中断、人文学系プログラムの中止や延期も含まれる。さらに、政府が法的な裏付けを欠く独自の基準に基づいて連邦補助金を打ち切ったことで、萎縮効果を生じさせた点も重大な問題だ」
この訴訟の背景には、昨年、NEHの委員長が解任され、同機関の方針がドナルド・トランプ大統領の掲げるアメリカ第一主義に沿う形へと転換された経緯がある。その後、委員長代行に任命されたマイケル・マクドナルドは、バイデン前政権下で交付が決まっていた補助金の大半を打ち切った。
ニューヨーク・タイムズ紙は当時の状況について、「削減額は総額1億ドル(最近の為替で約157億円)以上にのぼり、全米各地の組織やプロジェクトは混乱に陥った。活動停止を余儀なくされたケースもある」と報じた上で、こう続けている。
「DOGEの職員2人が、補助金の選別にChatGPTを使用していたことを示す文書を原告側が提出したことで、この訴訟は大きく注目された。職員らは、ダイバーシティ、公平性、包括性(Diversity、Equity、Inclusion=DEI)の推進を禁じる大統領令に違反する補助金を特定しようとしていた」
DOGEの職員らは、「LGBTQ」「BIPOC(黒人、先住民、有色人種)」「平等(equality)」「移民(immigration)」「市民権(citizenship)」などのキーワードを使い、補助金の対象事業をふるい分けていた。報道によれば、職員らは人文学や行政に関する専門的な知識を持っていなかったものの、「無駄な小規模機関」を縮小するというDOGEの方針には賛同していたという。(翻訳:編集部)
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