2026年の新世界遺産が決定。「飛鳥・藤原の宮都」からアアルト建築まで全25件を一挙紹介

韓国で開催されている第48回世界遺産委員会で、ユネスコ日本の「飛鳥・藤原の宮都」やフィンランドのアルヴァ・アアルトの建築作品群、ギリシャのオリンポス山など地域・時代ともに多岐にわたる計25件の世界遺産登録を決めた。

世界遺産登録されたアルヴァ・アアルトの建築、フィンランディア・ホール。© Alvar Aalto Foundation

7月19日から29日まで韓国・釜山で開かれている第48回世界遺産委員会で、ユネスコは文化遺産19件、自然遺産5件、文化と自然の双方に価値を持つ複合遺産1件の計25件を新たに世界遺産へ登録することを決めた。

考古遺跡では、まず日本の「飛鳥・藤原の宮都」が挙げられる。奈良県橿原市、桜井市、明日香村に残る、6世紀末から8世紀初頭の宮殿や都城、寺院、古墳など19の構成資産からなる遺跡群だ。飛鳥宮跡、藤原宮跡、飛鳥寺跡、石舞台古墳などで構成され、日本という国家の基礎が築かれていく過程を伝えている。国内の世界文化遺産としては22件目、自然遺産を含む総数では27件目、奈良県内では4件目の登録となる。

世界遺産が伝える信仰と国家の歴史

今回は宗教や信仰と関わりの深い歴史的遺産も目立った。カザフスタンでは、カスピ海に面するマンギスタウ半島に点在する岩窟モスクと聖地群が登録された。現地で「地下モスク」と呼ばれるこれらの建造物は、天然洞窟や岩壁、地中を利用して造られ、古来の祖先崇拝と自然信仰が融合した文化を伝えている。

チュニジアからは、地中海を望む村シディ・ブ・サイドが登録された。村名は、12~13世紀に生きた指導者で聖者でもあったシディ・ブ・サイドに由来する。

タイでは、8世紀に創建されたナコーンシータンマラートの仏教寺院「ワット・プラ・マハータート・ウォラマハーウィハーン(プラ・マハータート寺院)」が登録された。タイ外務省は、「今回の登録は、この遺産の保全と保護に向け、国と地方の連携をさらに強化するものになるでしょう」とコメントしている。

ジャバル・アメル地域の城塞群(レバノン )© Directorate General of Antiquities (DGA)
セバステイア(パレスチナ)
© MoTA
江西省の景徳鎮手工芸磁器産業の拠点(中国)© Jingdezhen Handicraft Porcelain Industry Heritage Conservation Center
スルタン国の旧市街メディナ(コモロ)
© RC Heritage
マンギスタウの岩窟モスクと関連する聖地(カザフスタン)
© RSE Kazrestavratsiya MKI RK
ナコーンシータンマラートのプラ・マハータート寺院(タイ)
© Wannasarn Noonsuk
匈奴(きょうど)貴族の墓地群(モンゴル)
© N.Erdene-Ochir
シディ・ブ・サイド村(チュニジア)
© Aly Cherif
サールナートの古代仏教遺跡(インド)
© Archaeological Survey of india
飛鳥・藤原の宮都(日本)
© Asuka-Fujiwara World Heritage Inscription Promotion Council
タシケントのモダニズム建築(ウズベキスタン)
© Karel Balas
サントメ・プリンシペの植民地時代の農園・ロサ(サントメ島・プリンシペ島)
© CRAterre
アラムート城と関連する要塞群(イラン)
© ACHB
アアルトの建築作品群(フィンランド)
© Alvar Aalto Foundation
1944年、ノルマンディー上陸作戦の海岸(フランス)
© Michel Dehaye
中部イタリアにおける18~19世紀のイタリア式共同所有劇場群(イタリア)
© Fondazione Marche Cultura
ラングドック地方のカペー朝王家の城塞群(フランス)
© AMPM
グディニャのモダニズム都市中心部(ポーランド)
© Gdynia City Hall
アマゾニアの劇場群(ブラジル)
© Reggo/Roumen Koynov
アカバ海洋保護区(ヨルダン) © JREDS
ボマ=バディンギロの動物移動景観(南スーダン) © Gael R.Vande weghe
オキーフェノキー国立野生生物保護区(アメリカ合衆国) © Public Domain
リムフィヨルド西部の硬骨魚類化石群(デンマーク) © Museum Mors
ワディ・ウラヤ(アラブ首長国連邦) © Nuri Asmita
オリンポス山とその周辺地域(ギリシャ)
© Themis Nasopoulou

ギリシャ最高峰で、ギリシャ神話の神々が住む聖なる山とされるオリンポス山とその周辺地域も、今回唯一の複合遺産として世界遺産に登録された。ギリシャのユネスコ代表、ゲオルギオス・クムツァコスは声明で、「私たちはオリンポス山を守るという揺るぎない決意を改めて表明します。ギリシャ神話が教えるように、神々とは常に良好な関係を保つのが賢明です」と述べた。

劇場からアアルトまで、近代建築も評価

舞台芸術を支えてきた建築もリストに加わった。その一つが、18世紀半ばから19世紀末にかけて建てられた、イタリア中部の10の劇場だ。後期バロックの影響を受けた新古典主義様式を特徴とするこれらの劇場は、「コンドミニオ」と呼ばれる共同所有と官民共同出資の仕組みによって建設・運営されてきた。この制度により、地方の中小都市にも劇場を建てることが可能になり、人々が舞台芸術に触れる機会が広がった。

フィンランドを代表する20世紀の建築家、アルヴァ・アアルト(1898~1976)に関連する13の建築・建築群も登録された。これらは、アアルトだけでなく、建築家で最初の妻だったアイノ・マルシオ=アアルト、2人目の妻エリッサ・アアルト、アアルト事務所とその協力者たちの共同作業によって生み出されたものだ。

1928年から1988年までの約60年間に、農村部から都市部まで多様な環境と用途に応じて設計された建築群は、人間を中心に据え、それぞれの土地の特性に寄り添う独自のモダニズム建築をアアルトらがいかに切り開いたかを示している。構成資産には、ヴィラ・マイレア、パイミオのサナトリウム、ヘルシンキのフィンランディア・ホールなどが含まれる。

アルヴァ・アアルト財団のCEO、トンミ・リンドは声明で次のように語った。

「アアルトの建築遺産は、建築が受け得る最も名誉ある国際的評価を獲得しました。その生涯をかけた仕事が、フィンランド国内にとどまらず、世界の建築・デザイン史においても重要だと認められた証しにほかなりません。フィンランド人として誇りに思います」

世界を魅了した磁器の都・景徳鎮も登録

委員会はまた、中国南東部・江西省の景徳鎮にある、磁器産業の発展を伝える5つの構成資産も登録した。これらは10世紀から19世紀にかけての磁器生産の歩みを示すもので、原料の採掘・輸送から窯の技術革新、大規模な生産体制までを包括している。

景徳鎮では、カオリン(高嶺土)と磁器石を混ぜる「二元配合法」が確立され、薄く、強度が高く、透光性を備えた良質な磁器が生産された。明代には官窯と民間の窯が並び立ち、やがて景徳鎮の青花磁器とその意匠は、世界各地で珍重される交易品となった。

今年認定された世界遺産は次の通り。

文化遺産

ジャバル・アメル地域の城塞群(レバノン )※危機遺産にも同時認定
セバステイア(パレスチナ)※危機遺産にも同時認定
江西省の景徳鎮手工芸磁器産業の拠点(中国)
スルタン国の旧市街メディナ(コモロ)
マンギスタウの岩窟モスクと関連する聖地(カザフスタン)
ナコーンシータンマラートのプラ・マハータート寺院(タイ)
匈奴(きょうど)貴族の墓地群(モンゴル)
シディ・ブ・サイド村(チュニジア)
サールナートの古代仏教遺跡(インド)
飛鳥・藤原の宮都(日本)
タシケントのモダニズム建築(ウズベキスタン)
サントメ・プリンシペの植民地時代の農園・ロサ(サントメ島・プリンシペ島)
アラムート城と関連する要塞群(イラン)
アアルトの建築作品群(フィンランド)
1944年、ノルマンディー上陸作戦の海岸(フランス)
中部イタリアにおける18~19世紀のイタリア式共同所有劇場群(イタリア)
ラングドック地方のカペー朝王家の城塞群(フランス)
グディニャのモダニズム都市中心部(ポーランド)
アマゾニアの劇場群(ブラジル)

自然遺産

アカバ海洋保護区(ヨルダン)
ボマ=バディンギロの動物移動景観(南スーダン)
オキーフェノキー国立野生生物保護区(アメリカ合衆国)
リムフィヨルド西部の硬骨魚類化石群(デンマーク)
ワディ・ウラヤ(アラブ首長国連邦)

複合遺産

オリンポス山とその周辺地域(ギリシャ)

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