南アジア美術が活況! サザビーズ・ロンドンで同分野の落札総額が過去最高、落札率は99%

サザビーズ・ロンドンで開催された近現代南アジア美術のオークションが、同カテゴリー史上最高となる1980万ポンド(約39億円)を記録した。さらに、9作家がオークション最高記録を更新した。

Sayed Haider (S.H.) Raza, Paysage Rouge, 1960. Courtesy Sotheby's
今回の最高額となった、サイード・ハイダー・ラザの《Paysage Rouge》(1960年)。Photo: Courtesy Sotheby's

9月29日、サザビーズ・ロンドンで近現代の南アジア美術のオークションが開催された。全73ロットの落札総額は1980万ポンド(最新の為替レートで約41億2000万円)で、同カテゴリーにおける同社史上最高額を記録した。また、落札率は99%に達し、作品の約89%が最高予想落札価格を上回った。これまでの最高は、同じくロンドンで1年前に開催されたオークションでの1890万ポンド(約39億3000万円)だった。

9人の作家がオークション記録を更新

今回のオークションでは、アントニオ・ピエダーデ・ダ・クルス(Antonio Piedade da Cruz)、スナヤニ・デヴィ(Sunayani Devi)、オリント・ギラルディ(Olinto Ghilardi)、ゴパル・ゴーシュ(Gopal Ghose)、ブーペン・カーカル(Bhupen Khakhar)、ドゥルヴァ・ミストリー(Dhruva Mistry)、ヒューゴ・ヴィルフレッド・ペダーセン(Hugo Vilfred Pedersen)、モハン・シャルマ(Mohan Sharma)、ラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore)の9人が、それぞれオークションでの作家最高記録を更新した。

サザビーズで近現代南アジア美術部門のグローバル責任者を務めるマンジャリ・シハレ=スティオンは、プレスリリースで次のようにコメントしている。

「当部門にとって驚異的なオークションとなりました。昨年ロンドンで樹立したばかりの記録を更新し、史上最高の総落札額を達成しました。9人の作家が新たな記録を樹立した今回の結果は、市場の厚みと、南アジア美術に対する国際的な評価がますます高まっていることの両方を示しています」

S・H・ラザは予想価格の10倍で落札

今回の最高額となったのは、サイード・ハイダー・ラザ(Sayed Haider Raza)の抽象風景画《Paysage Rouge》(1960)で、最高予想落札価格の10倍にあたる380万ポンド(約7億9000万円)。これはラザの作品として史上3番目に高い落札額となる。同作家のオークション最高記録は、2024年にサザビーズ・ニューヨークでの560万ドル(約8億8000万円)だ。2023年にポンピドゥー・センターで開催されたラザ展について、US版ARTnewsのライター、デヴォラ・ローターは、同展が「芸術をめぐる問いと応答をキャンバス上で闘わせた、魅力的な人生」を浮かび上がらせていたと評している。

ブーペン・カーカル《Old Men Playing Chess》(制作年不詳)

ブーペン・カーカルの制作年不詳の絵画《Old Men Playing Chess》は、今回のオークションで最も高い70万ポンド(約92万6000ドル)の最高予想落札価格が付けられていた。しかし実際の落札額はこれを大幅に上回る310万ポンド(約420万ドル)に達し、この夜2番目の高額落札となった。画面には広大なオレンジ色の風景が広がり、その一角でチェスをする2人の老人が小さく描かれている。この落札額はカーカルのオークション記録を更新し、2019年にサザビーズ・ロンドンで《Two Men in Benares》(1982)が記録した320万ドル(約5億円)を上回った。

26年間で価値が123倍になった作品も

最高予想落札価格60万ポンド(約1億2000万円)を大幅に上回ったのが、マクブール・フィダ・フセイン(Maqbool Fida Husain)の《Mithuna Crimson》(制作年不詳)だ。270万ポンド(約5億6000万円)で落札され、今回の3番手となった。出品者は2000年、サザビーズ・ニューヨークで横幅約1.8メートルの同作をわずか2万8350ドル(約400万円)で購入しており、今回の落札額はドル換算で約123倍に上昇したことになる。また、フセインの《Untitled (Gram Yatra)》は昨年クリスティーズ・ニューヨークで1380万ドル(21億6500万円)で落札され、インド近代美術のオークション記録を塗り替えた。落札したのは、インドを代表するコレクターの一人、キラン・ナダールだった。また昨年には、カタール・ドーハにフセインの作品を専門とする美術館が開館している。

このほか、100万ドル(約1億5600万円)の大台を超えた作品がもう1点ある。最高予想落札価格35万ポンド(約7300万円)だったラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore)の《Untitled (Head of a Woman)》は、100万ポンド(約2億円)で落札され、作家のオークション最高記録を更新した。同作は2008年、サザビーズ・ニューヨークで10万4500ドルで落札されていた。(翻訳:編集部)

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