大林剛郎(Takeo Obayashi)

拠点:日本・東京
職業:大林組 取締役会長 兼 取締役会議長(建設業)
収集分野:現代アート

1892年に曾祖父が創業した総合建設会社、大林組の会長である大林剛郎は、自らのアートコレクションを展示するためのプライベートミュージアム、游庵(非公開)の設計を、世界的な建築家の安藤忠雄に依頼したことでも知られる。

「游庵」という名は、芸術や文化を通じて人々が集まり、友好を広げるという価値観を表すものだ。外観の建物は大きなガラスの箱のようで、「通りに面した窓がほとんどなく、ガラスのファサードから穏やかな光を内部空間に取り込んでいる」と、ある訪問者は書いている。内部は幾何学的な設計で、1階と2階には居住用設備があり、地下は780点にも及ぶ現代アートのコレクションを展示するスペースになっている。

大林はUS版ARTnewsにこう語ったことがある。「自分のコレクションを見ると、さまざまな感情が湧いてきます。作品を入手する過程には多くの物語がありますから」。静けさに満ちた游庵には、ダニエル・ビュレン、トレーシー・エミン、マイク・ケリー、草間彌生、マーク・クインなど世界的なアーティストの作品や、オラファー・エリアソン、イ・ブル、ガブリエル・オロスコ、吉岡徳仁といった作家のサイトスペシフィック・インスタレーションがあり、地下のギャラリーでは毎年数回の個展を開催している。

大林のコレクションは、自らが経営する会社のオフィスに飾りたいという思いから始まったが、その過程、特にアーティストとの会話は「活力を与えてくれる」と感じたという。日本の若手画家に愛情を注ぐ大林は、2010年にArtinfoの取材で「才能はたくさんあるのに、誰もそれに目を向けていない」と話しているが、彼の活動はそうした状況を変えつつあるようだ。