ARTnewsJAPAN

ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)

拠点:アメリカ・シアトル
職業:アマゾン創業者(Eコマース)
収集分野:現代アート

2020年8月、米フォーブス誌はジェフ・ベゾスの純資産が2000億ドル(約29兆2000億円)を超え、史上最高額を記録したと報じた。このときベゾスに次ぐ2位だったビル・ゲイツとの差は900億ドル(約13兆円)近い。言うまでもなく、彼の財産のほとんどは、1994年にワシントン州ベルビューで創業したアマゾンがもたらしたものだ。オンライン書店から始まったアマゾンは、今やあらゆるものを販売するEコマース界の絶対王者となっている。コロナ禍では、アマゾンが労働者の安全確保を十分に行わなかったとして批判されたが、ベゾスの富は膨らむ一方だった。2000億ドルの大台に乗るわずか1カ月前、米ブルームバーグは彼の資産が1日で130億ドル(約1兆9000億円)増加したと伝えている。

ベゾスの資産が史上最高額に達したとフォーブス誌が報じた2020年、彼が少なくとも2つの重要作品を保有するアートコレクターであることも明らかになった。2019年11月、クリスティーズのオークションで、エド・ルシェの《Hurting the Word Radio #2》(1964)が、匿名の電話入札者に5250万ドル(約77億万円)で落札された。「RADIO」という単語のRとOの文字がそれぞれ作業工具で締め付けられているこの作品は、このときルシェの最高落札額を更新している。アート市場のニュースやインサイダー情報を扱うベアファクスト(Baer Faxt)のニュースレターが報じたところによると、その買い手はベゾスで、さらに彼はケリー・ジェームズ・マーシャルの《Vignette 19》(2014)もサザビーズのオークションで入手したという。この作品の落札額1850万ドル(約27億円)は、マーシャルとして史上2番目の高額だった。ベゾスがいつ、どのようにアート収集を始めたかは公にされていないが、婚約者のローレン・サンチェスの影響だという説もある。

2021年2月、ベゾスは2021年7-9月期にCEOを退任し、取締役会長に就くことを発表した。ベゾスは同年、ワシントンD.C.のスミソニアン航空宇宙博物館に2億ドル(約292億円)を寄付。また、2022年にはシアトルの歴史産業博物館のベゾス・イノベーションセンターに1000万ドル(約14億6000万円)を寄付している。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい