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アニタ・ブランチャード&マーティン・ネスビット(Anita Blanchard and Martin Nesbitt)

拠点:アメリカ・シカゴ
職業:産婦人科医(元シカゴ大学教授)、投資ファンド(ヴィストリア・グループ)
収集分野:現代アート

産婦人科の医師で医学博士のアニタ・ブランチャードは、シカゴ大学病院の教授でもあった(現在は退職)。また、アメリカ産科婦人科学会の元副会長で、今も理事を務めている。マーティン・ネスビットは不動産業で成功した実業家で、2013年にキップ・カークパトリックとともに投資ファンドのヴィストリア・グループを設立し、共同CEOに就任した。

ブランチャードとネスビットは、US版ARTnewsのメール取材に、「アフリカにルーツのある我われの歴史の豊かさを土台として、ヨーロッパやアメリカで才能を開花させたアフリカ系アーティストの優れた作品を中心にコレクションを構築している」と回答。所蔵作家には、ヒューイ・リー=スミス、メアリー・ラブレス・オニール、リチャード・ハントといった大御所のほか、イグシャーン・アダムス、ジャーヴィス・ボイランド、アマンダ・ウィリアムズ、マーク・ブラッドフォード、ハンク・ウィリス・トーマス、デリック・アダムス、リネット・イヤドム・ボーキー、ラシッド・ジョンソン、グレン・ライゴンといった中堅・若手アーティストの名が並ぶ。

長年シカゴに住んでいるブランチャードとネスビットが特に力を入れてきたのは、地元作家の支援だ。自分たちのコレクションを貫いているのは、「友情」というキーワードだと語る2人は、ダウード・ベイ、キャロライン・ケント、ネイト・ヤング、シアスター・ゲイツ、キャンディダ・アルバレス、アマンダ・ウィリアムズ、マッカーサー・ビニオン、ニック・ケイヴ、ケリー・ジェームズ・マーシャルなどの作品を収集し、中でも「ケリー・ジェームズ・マーシャルの作品はいくら買っても足りない」と明かした。今後は、ネイティブアメリカンやラテン系、アジア系、アボリジニなど、差別の歴史を持つ黒人以外のアーティストの作品をコレクションしていく予定だという。

さらに2人は、アフリカを拠点とするアーティストの作品にも目を向け、南アフリカ、ナイジェリア、ガーナ、エチオピア、ケニアなど、各作家が拠点とする国に足を運んでいる。彼らはその行動を、「ただ海外の美術品を集めるのではなく、その土地を訪れ、伝統に触れ、文化に浸ることで、より深く作品を理解することができる」と説明する。

2人は、バラク・オバマ元大統領やミシェル・オバマ夫人とも親交がある。ブランチャードはミシェルが2人の娘を出産したときの担当医で、ネスビットはバラクのバスケットボール仲間として知られている。ネスビットは2度の大統領選で会計係を務めるなど、政治活動に協力しているほか、オバマ財団の理事長でもあり、2026年にオープン予定の記念館「オバマ大統領センター」の理事長にも就任が予定されている。

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