イルマ&ノーマン・ブラマン(Irma and Norman Braman)
拠点:アメリカ・フロリダ州マイアミビーチ
職業:自動車ディーラー
収集分野:近現代アート
マイアミのアートシーンきっての大物コレクター、ノーマン・ブラマンは、薬品やビタミン剤の販売で富を築き、さらにフロリダとコロラドに高級車ディーラーのネットワークを展開して資産を増やした。米フォーブス誌によると、2024年10月時点の資産額は33億ドル(約4800億円)だが、半分以上が美術品の評価額だとされている(資産額は日々更新される)。そのコレクションには、1979年に収集を始めるきっかけとなったアレクサンダー・カルダー、2011年にニューヨーク近代美術館(MoMA)の展覧会に貸し出したアンディ・ウォーホルやウィレム・デ・クーニングなど、近現代アートの一流作家による作品が数多く含まれている。
オークションでも、ブラマン夫妻は高値で競り合うことを厭わない。「アーティストの最高傑作を買うなら、いくら払っても構いません。そのうち市場の評価が追いついてきますから」と、ノーマンは2011年にフォーブス誌に語っている。また、世界最高峰のアートフェア、スイスのアート・バーゼルには少なくとも20年以上足を運んでいるが、手ぶらで帰ることはまずない。ピカソを2点買った年もあれば、アメリカのミニマリスト、ダン・フレイヴィンのネオン作品の購入を10分で決めたこともある(このネオン作品は現在、マイアミのブラマン邸の玄関を照らしている)。
1990年代後半、ノーマンはアート・バーゼルのフロリダ誘致に関わり、スイスのバーゼルに次ぐ世界で2つ目のアート・バーゼルをマイアミビーチで開催するために尽力した。さらにブラマン夫妻は、ICAマイアミ(マイアミ現代美術館)の移転先となる約3500平方メートルの施設建設にも資金を提供。2014年にノーマンは、ニューヨーク・タイムズ紙の取材に「費用がいくらかかっても、やるのみです」と答えていた。
10代の頃、NFLのフィラデルフィア・イーグルスのトレーニングキャンプで飲料水係をしていたノーマンは、1986年から94年まで同チームの共同オーナーを務めている。また、フロリダ州選出の上院議員、マルコ・ルビオの長年の支援者でもあり、2016年にルビオが共和党の大統領選予備選に立候補したときにも(途中で撤退)、約1000万ドル(約14億6000万円)の資金協力を行った。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。