トルーディ&ポール・セハス(Trudy and Paul Cejas)
拠点:アメリカ・マイアミビーチ
職業:投資家(PLC Investments)
収集分野:戦後美術(特にグループ「ゼロ」)、現代アート
キューバ生まれのポール・セハスは、1960年代にフロリダに移住してマイアミ大学で学び、公認会計士になった。その後、ヒスパニック系としては米国最大の医療サービス企業、ケアフロリダ・ヘルスシステムズを設立し、1994年に売却。1998年から2001年までは、ビル・クリントン大統領のもとで駐ベルギー米国大使を務めている。現在は、不動産からベンチャーキャピタルまでの保有資産を運用するPLCインベストメンツの会長兼CEOの座にある。
セハスは、マイアミの市民団体や慈善団体にも長く関わってきた。1980年から8年間、マイアミ=デイド郡の教育委員会に所属し、うち5年間は同委員会の委員長として活動している。1994年にはフロリダ州のロートン・チャイルズ知事(民主党)からフロリダ州大学システムの理事に任命され、財務・予算委員長を務めた。さらに、マイアミ美術館(現ペレス美術館マイアミ)、スミソニアン協会、テート美術館ネットワークのラテンアメリカ諮問委員会などの理事を経験している。
セハスとトルーディ夫人のアートコレクションは、夫妻が長年暮らしてきたフロリダにあるいくつもの邸宅に収められている。収集は、戦後ドイツでハインツ・マックとオットー・ピーネが結成したグループ、ゼロの作品からスタートし、アルゼンチン系イタリア人アーティスト、ルーチョ・フォンタナにも特に力を入れている。フォンタナをきっかけにイタリアの芸術運動、アルテ・ポーヴェラにも関心を向け、アルベルト・ブッリやピエロ・マンゾーニなどの作品も購入。その後コレクションの中心は抽象画やミニマリズムなどの戦後美術に移り、アグネス・マーティン、サム・フランシス、ロバート・ライマン、ダン・フレイヴィン、ドナルド・ジャッド、サイ・トゥオンブリーなどを収集した。
最近、トルーディは現代アートの収集にも力を入れており、2022年にはジュリア・ロンメル、ラティファ・エチャフ、セシリー・ブラウン、レジー・バローズ・ホッジス、ヴォーン・スパンの作品を購入している。