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アレクサンドラ&スティーブ・A・コーエン(Alexandra and Steven A. Cohen)

拠点:アメリカ・コネティカット州グリニッジ
職業:投資家
収集分野:近現代アート、印象派

アレクサンドラ・コーエンとスティーブ・A・コーエンが美術品の収集を始めたのは2000年。以来、ウィレム・デ・クーニング、アンディ・ウォーホル、パブロ・ピカソ、ジャスパー・ジョーンズ、ジェフ・クーンズ、ジャクソン・ポロックといった世界的アーティストをはじめとする膨大なコレクションに10億ドル以上(約1470億円)を費やしたと言われる。しかし、米フォーブス誌によると推定純資産が130億ドル(約1兆900億円)を超えるヘッジファンド・マネージャーのスティーブにとっては、大した額ではないだろう。

コーエンは、米フォーチュン誌に作品を購入するときの決め手をこう語っている。「私は純粋に直感で判断しています。買うべきかどうかすぐにわかるんです。脳裏に残っていれば──たとえば絵を見に行ったとして、その絵のことをずっと考えていれば──自分はそれが好きなのだとわかる。忘れるようであれば、自分にはどうでもいいものなのです」

2015年にオークションで落札された史上最高額作品の1つ、アルベルト・ジャコメッティの「指差す男」(1947)の買い手はコーエンだ。ほかにも、ホルムアルデヒドの中に巨大なサメが浮かぶダミアン・ハーストの代表作、《生者の心における死の物理的な不可能性》(1991)を所有している。

コーエン夫妻はこれまで、数百万ドル規模の寄付をメトロポリタン美術館、エル・ムゼオ・デル・バリオ、グッゲンハイム美術館、ロックの殿堂などに行い、最近ではニューヨーク近代美術館のリノベーションのために5000万ドル(約74億円)を寄付している。その一方で、コレクションの主要な作品を手放すこともある。たとえば、2015年11月にサザビーズのオークションに出品したウォーホルの《Mao》は、4700万ドル(約68億円)を上回る価格で落札された。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

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