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アレクサンドラ&スティーブ・A・コーエン(Alexandra and Steven A. Cohen)

拠点:アメリカ・コネティカット州グリニッジ
職業:投資家
収集分野:近現代アート、印象派

アレクサンドラ・コーエンとスティーブ・A・コーエンが美術品の収集を始めたのは2000年。以来、ウィレム・デ・クーニング、アンディ・ウォーホル、パブロ・ピカソ、ジャスパー・ジョーンズ、ジェフ・クーンズ、ジャクソン・ポロックといった世界的アーティストをはじめとする膨大なコレクションに10億ドル(約1460億円)以上を費やしたと言われる。しかし、米フォーブス誌による推定純資産が2024年10月時点で213億ドル(約3兆1000億円)を超えるスティーブにとっては、痛くも痒くもない金額だろう(資産額は日々更新される)。

コーエンは、米フォーチュン誌に作品を購入するときの決め手をこう語っている。「私は純粋に直感で判断しています。買うべきかどうかすぐにわかるんです。脳裏に残っていれば──たとえば絵を見に行ったとして、その絵のことをずっと考えていれば──自分はそれが好きなのだとわかる。忘れるようであれば、自分にはどうでもいいものなのです」

2015年にオークションで落札された史上最高額作品の1つ、アルベルト・ジャコメッティの「指差す男」(1947)の買い手はコーエンだった。そのほか、ホルムアルデヒドの中に巨大なサメが浮かぶダミアン・ハーストの代表作、《生者の心における死の物理的な不可能性》(1991)を所有している。

コーエン夫妻はこれまで、数百万ドル規模の寄付をメトロポリタン美術館、エル・ムゼオ・デル・バリオ、グッゲンハイム美術館、ロックの殿堂などに行い、最近ではニューヨーク近代美術館(MoMA)のリノベーションのために5000万ドル(約73億円)を寄付している。一方で、コレクションの主要な作品を手放すこともある。たとえば、2015年11月にサザビーズのオークションに出品したウォーホルの《Mao》は、4700万ドル(約69億円)を上回る価格で落札された。

2020年にメジャーリーグ球団のニューヨーク・メッツを24億ドル(約3500億円)で買収したスティーブは、ファンサービスとして19種類の来場者ギフトを企画。その中には2人のアーティストとのコラボグッズもあり、画家で元アートディーラーのジョエル・メスラーが手がけたビーチトートと、コンセプチュアル・アーティストのラシッド・ジョンソンがデザインしたバケットハットが観客にプレゼントされた。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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