J. パトリック・コリンズ(J. Patrick Collins)
拠点:アメリカ・ダラス
職業:石油・ガス(Cortez Resources)
収集分野:現代アート
テキサス州ダラスの石油・ガス会社、コルテス・リソーシズの共同設立者でCEOのJ. パトリック・コリンズは、アメリカにおけるアートパトロンの中心地とされてきたダラスの次世代コレクターを代表する存在だ。ダラス・アートフェアのディレクター、ケリー・コーネルは、2020年にUS版ARTnewsの取材に答え、「ダラスのコレクティングシーンは、現代アート、新進作家を収集する新しいコレクターの登場で活性化している」と述べている。
コリンズがアートへの情熱を持つようになったきっかけは、高校時代に20世紀の芸術運動、ダダイスムについてのリポートを書いたことだった。ニューヨークのコロンビア大学ではヨーロッパ近代史を専攻しつつ、尊敬する美術理論学者で評論家のロザリンド・クラウスの授業も受講している。その頃、初めて購入したのはライアン・マクギネスの絵画だった。
現代アートの中でも特に新しいものが中心の彼のコレクションの7〜8割は、現代40代前半のコリンズと同年代か年下のアーティストの作品だとされる。収集の範囲は、絵画、彫刻、写真、映像と幅広く、トム・バー、N・ダッシュ、ダニエル・ディーン、ハディ・ファラピシェ、ジル・マギド、クリストドゥロス・パナイオトゥー、パトリシア・トライブなどの作品を所有。コリンズと親交のある作家も多く、自身も2022年にコロラド州アスペン美術館によるコレクター紹介の中で、「アーティストと交流するのが好きだ」と語っている。
コリンズは、ニューヨークのディア芸術財団やエル・ムセオ・デル・バリオ、テキサス州のフォートワース近代美術館やマーファのチナティ財団といった美術館やアートNPOの理事、ダラスのナッシャー彫刻センターの諮問委員を務めている。また、以前はダラス美術館と南メソジスト大学美術学部の理事でもあった。
アスペン美術館のコレクター紹介で、コリンズはこう語っている。「私はアートを文化的な『財』であると考える。アーティストがやりたいことをサポートしたいと思い、彼らの目標達成を支援することに情熱を注いでいる」