ベス・ルーディン・デウッディ(Beth Rudin DeWoody)
拠点:アメリカ・ロサンゼルス、ニューヨーク、ウェスト・パーム・ビーチ
職業:不動産、フィランソロピスト
収集分野:近現代アート
ベス・ルーディン・デウッディがコレクションを始めたのは12歳。当時、夢中になっていたのはビートルズのグッズだった。以来、所蔵品は増え続け、今では著名作家から新進アーティストまで、その数は1万点を超える。2015年にホイットニー美術館のアダム・D・ワインバーグ館長は、「彼女の眼差しは貪欲で、好奇心は無限大だ。その関心の幅広さにはいつも驚かされる」と、サザビーズマガジンに語っている。
ニューヨーク、ニューオリンズ、シカゴ、ロンドン、バーモント州のギャラリーなどで展覧会を開催してきた有能なキュレーターでもあるデウッディの関心の幅は、確かにコレクターの枠を超えていると言えるだろう。US版ARTnewsに、「私はいつも、もっと作品を世に出したいともどかしく感じている」と語る彼女は、頻繁に自身のコレクションから選りすぐった作品を展示している。
デウッディが、金属製のハエの作品に一目惚れして出会ったアーティストのロブ・ウィンは、2010年、ウォール・ストリート・ジャーナルに「これほどアーティストをサポートしてくれる人はいない」と語っている。その言葉が裏付けるように、デウッディは2017年12月、ウェスト・パーム・ビーチに「バンカー」というアートスペースをオープン。かつて軍需工場だった1920年代のアールデコ様式の建物を利用したこの施設では、これまでニコール・アイゼンマン、シンディ・シャーマン、ロバート・ロンゴ、ニック・ケイブ、ハンク・ウィリス・トーマスなどの展覧会が開催された。
バンカーは招待制で、一般公開はされておらず、年に1度、12月のアート・バーゼル・マイアミ・ビーチの時期に展覧会を行う。そのため、フェアの前後にはコレクターやディーラーなどのアート関係者がこぞってバンカーを訪れるのが恒例行事になっている。