ジョージ・エコノム(George Economou)
拠点:ギリシャ・アテネ
職業:海運(ドライシップス)、投資
収集分野:戦後美術、近現代アート
「流行にとらわれないのが私の信条だ」。ジョージ・エコノムは、かつてウォール・ストリート・ジャーナルにこう語った。「人は耳で得た情報で物を買う。しかし、耳ではなく、心の窓である目で見て物を買うべきだ」
自分の目で確かめることを大切にするエコノムは、2001年から20年以上にわたり、パブロ・ピカソから20世紀初頭のドイツやオーストリアの作家、さらには公衆電話を作品にしたものまで、多種多様なアートをコレクションしてきた。近年は戦後美術や現代アートを中心に、積極的な収集活動を行っている。US版ARTnewsに語ったところによると、気に入っているのは「白髪一雄や元永定正に代表される日本の具体(運動)や、アメリカのロバート・ライマン、ドナルド・ジャッド、ダン・フレイヴィンなどのミニマリズムなど、感情に訴えかけるような作品」だという。また、ゲオルグ・バゼリッツやゲルハルト・リヒターなど、現在活躍しているヨーロッパのアーティストも気に入っていると語った。
特にドイツ表現主義が好みのようだが、自宅にはこうした作品はほとんど飾らない。かつてエコノムが語ったように、「寝室に飾りたい絵ではない」からだろう。その代わり、アテネの私設美術館、ジョージ・エコノム・コレクションには、さまざまな作品を展示している。最近開催した展覧会も、デイヴィッド・ハモンズ、ラシッド・ジョンソン、チャールズ・レイなど幅広い。
2015年にエコノムは、ニューヨークを拠点とするディア芸術財団の理事に就任した。同財団は、ミニマリズムのアーティストによる大型作品や、環境一体型のインスタレーションなどを展示するディア・ビーコンを設立したことで知られる。進取の気性に富み、さまざまなことに関心を持つエコノムは、自分のことを幸運な人間だと感じているようだ。彼はかつてこう語ったことがある。「毎日を生き生き過ごしている自分はとても幸せだ」