アイゼンバーグ家(Eisenberg Family)

拠点:アメリカ・ニュージャージー、ニューヨーク
職業:小売業
収集分野:近現代アート

1990年代初めから近現代アートを収集してきたウォーレン・アイゼンバーグと妻のミッツィは、ニューヨークのニューミュージアムを支える有力な後援者だ。ミッツィは2003年から同美術館の理事を務め、現在は理事会の副会長の座にある。ウォーレンは、レナード・ファインスタインとともに、家庭雑貨のチェーン店「ベッド・バス・アンド・ビヨンド」を創業した経営者だ。

2005年にアイゼンバーグ夫妻は、ファインスタイン夫妻とともにニューミュージアムの移転に700万ドル(約10億円)を寄付し、マンハッタン南部のバワリー地区に新たな美術館を建設するプロジェクトを支えた。当時の声明でミッツィは、「ニューミュージアムは現代アートとアーティストに多大な貢献をしています。新しい美術館の建築プロジェクトに、いま最先端を行く設計事務所SANAAを選んだことは、この美術館のミッションにふさわしいことです」と述べ、こう付け加えた。「私たちにとって大切なのは、自分自身に挑戦する方法を探し続けること。ニューミュージアムには、長年それを実践してきた歴史があります」

アイゼンバーグ夫妻の息子マーティンと妻のレベッカも、社会に出た頃からアーティストとの付き合いを始め、彼らがキャリアを積んでいく過程を見続けながら作品を収集している。そうすることで、「アーティストとともに成長し、彼らの歴史の一部になる」と夫妻は語っている。

所有作家は、カイ・アルトホフ、シャルリン・フォン・ハイル、ピーター・ドイグ、ニコール・アイゼンマン、マーク・グロッチャン、ウェイド・ガイトン、デイヴィッド・ハモンズ、メアリー・ハイルマン、ラシッド・ジョンソン、エリザベス・ペイトン、リクリット・ティラヴァーニャなど。その時々の旬のアーティストに目を向け、作品を収集してきたアイゼンバーグ家ならではのコレクションだ。

2005年のニューヨーカー誌の記事によると、「ミッツィは、チャリティオークションでベット・ミドラーとの昼食会に1万5000ドル(約218万円)で入札したことがあると、女優のリズ・スミスが明かした」という。だが同誌は、アイゼンバーグ夫妻は派手な振る舞いをするタイプではないとも書いている。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。