アーロン・I・フライシュマン(Aaron I. Fleischman)
拠点:アメリカ・マイアミビーチ、ニューヨーク
職業:投資家
収集分野:近現代アート
マイアミビーチ在住の投資家、アーロン・I・フライシュマンは、ハーバード大学法科大学院卒業後に自分の名を冠した法律事務所をワシントンD.C.に設立し、35年以上にわたり業務を行ってきた。フライシュマンは電気通信法分野に強い弁護士として有名で、1980年代~90年代のケーブルテレビ・携帯電話業界の急成長と統合において重要な役割を果たした。その中には、1991年にベル・アトランティック(現ベライゾン)がメトロモバイルを約25億ドル(約3600億円)で買収した案件など、注目を集めたものが少なくない。また、他の業種でも数多くの米国企業や経営者の顧問を務めた。
フライシュマンは、ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)やシカゴ美術館の名誉理事で、2018年にはMETの近現代アートのキュレーター職への寄付を行った。そのとき、METの理事長兼CEOであるダニエル・H・ワイスは声明でこう述べている。「フライシュマン氏の寄付は、メットが20世紀および21世紀のアートを広く知らしめ、かつその研究を進めるための推進力になります。彼はMETの未来を確かなものにする慈善活動グループの1人になりました」
フライシュマンはこのほかにも、アメリカのさまざまな美術館の展覧会、美術品の購入、施設建設、研究・調査プロジェクトなどを支援してきた。過去には、ニューヨークのホイットニー美術館をはじめ、複数の美術館や企業の役員を務めている。また、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーなどの展覧会や作家の回顧展のためにコレクションを貸し出すことも少なくない。
彼の所蔵品は、1912年から現在までのアメリカやヨーロッパのモダニズムと現代アートが中心だ。関係者によると、モンドリアン、ピカソ、ウォーホル、リキテンスタイン、マースデン・ハートリー、チャールズ・シーラーといった作家の最高レベルの絵画、デッサン、彫刻を数多く所有しているという。また、ドナルド・ジャッド、ブライス・マーデン、サイ・トゥオンブリー、エルズワース・ケリー、ルチオ・フォンタナ、ロバート・ライマン、ロバート・ゴーバーなど多様なアーティストによる、さまざまな時代の異なるメディウムの作品を収集している。
また、プライベートな時間を好むフライシュマンは、美術館関係者やコレクター、研究者などを自らの邸宅に招待し、アートコレクションを共有することを長年続けていることでも知られている。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。