マイケル・C・フォーマン、ジェニファー・ライス(Michael C. Forman and Jennifer Rice)
拠点:アメリカ・フィラデルフィア
職業:資産運用会社(FS Investments)
収集分野:近現代アート
マイケル・C・フォーマンは、約250億ドル(約3兆6000億円)の運用資産を扱う全米屈指の資産運用会社、FSインベストメンツのCEOだ。同社は「投資を民主化する」という方針を掲げ、大きな成功を収めている。具体的には、所得が7万ドル(約1000万円)以上で、最低5000ドル(約73万円)の投資を行う意思のある顧客であれば、民間企業に融資をすることができる。フォーマンは以前、オンラインメディアのフィラデルフィア・シチズンに、「老後のための貯蓄、教育のための貯蓄」を実現するものだと説明していた。
ポジティブな社風を重要視するフォーマンは、社内でアートや料理の教室を開催。また、フィラデルフィアのネイビーヤード地区に新設された本社には、所蔵するアート作品を展示しているという。
フォーマンと妻のジェニファー・ライスが力を注いでいるのは、シーン・スキャリー、ゲルハルト・リヒター、ジョアン・ミッチェル、ロバート・マザーウェルなどの近現代アートや、シアスター・ゲイツ、アルマ・トーマス、サム・ギリアムなど有色人種のアーティストのコレクションだ。フォーマンはUS版ARTnewsにこう語っている。「私たちはずっと、アートからインスピレーションや情熱、創造性を与えられてきました。それを今度は企業文化に吹き込むことが重要だと考えています」
フォーマンは、フィラデルフィアのバーンズ財団のコーポレート・リーダーシップ・ボードの一員でもある。また、2017年には「フィラデルフィアにおけるパブリックアートの取り組みに貢献した」ことを評価され、パブリックアートの共同制作プロジェクトや質の高いアート教育・訓練プログラムの支援を目的とする非営利団体、ムラル・アーツ・フィラデルフィアから表彰された。
2021年にフォーマンとライスは共同でフォーマン・アーツ・イニシアチブを設立し、フィラデルフィア中のアーティストや文化団体を支援している。その一環として、「アートワークス」という新たな助成金制度を設け、5年間で300万ドル(約4億4000万円)を地元のアーティストや非営利団体に分配。黒人、先住民、有色人種など、十分な社会的サービスを受けていないコミュニティの支援に重点を置いている。「フォーマン・アーツ・イニシアチブの目標の1つは、企業、地域コミュニティ、アーティストを集め、人と人、人とアートの出会いの場を作り、交流しながら学ぶことです」と、フォーマンはUS版ARTnewsに語った。「それは旅に出たときの出会いや交流、学びと似ています」
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。