ジミー・アイオヴィン&リバティ・ロス(Jimmy Iovine and Liberty Ross)

拠点:アメリカ・ロサンゼルス
職業:レコード会社経営、音楽プロデューサー
収集分野:現代アート

レコードエンジニア出身のジミー・アイオヴィンは、1990年にインタースコープ・レコードを設立。のちに同レーベル所属のDr. Dreとともに、オーディオブランド「Beats by Dre」を運営するビーツ・エレクトロニクスを共同設立し、2014年には同社をアップルへ売却。Apple Musicのローンチと成長戦略の中心的役割を担ってきた。

2018年にアップルとの契約が切れた彼は、おそらくセミリタイア生活でアートコレクションに割く時間が増えたのだろう。TOP 200 COLLECTORSの1人、デヴィッド・ゲフィンにギャラリーシーンを紹介してもらい、エド・ルシェ、デイヴィッド・ハモンズ、クロード・ラレンなどを購入し始めた。

2018年2月、アイオヴィンと妻のリバティ・ロスは、2016年に警察に射殺されたフィランド・キャスティルを題材としたマーク・ブラッドフォードの巨大な絵画《150 Portrait Tone》をロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)に寄贈。当時、LACMAはこの作品の価値についてコメントしなかったが、推定では約500万ドル(約7億3000万円)とされる。アイオヴィンはハリウッド・リポーター誌に、「私が愛する音楽と同じように、この作品は私に大きなインスピレーションを与えてくれた。自分だけでなく、多くの人に見てもらう必要がある」と語っている。

アイオヴィンは、2パック、50セント、エミネムなどのヒップホップアーティストをスターダムに押し上げ、音楽業界の巨人となった。2022年には、これらのアーティストによる名盤のジャケットを新たに制作する取り組みで、クロエ・ワイズ、KAWS、ローレン・ホールジー、レイモンド・ペティボンなどに制作が依頼されている。当時アイオヴィンは、「このプロジェクトは、多くの(音楽)アーティストがアルバムのアートワークに目を向けるきっかけになると思う」とUS版ARTnewsに語っている。完成した作品は、その年にLACMAの展覧会で展示された。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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