マリー=ジョゼ&ヘンリー・R・クラヴィス(Marie-Josée and Henry R. Kravis)
拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:金融・投資業
収集分野:18世紀フランス装飾美術、フランス・アールデコ家具、近現代アート
マリー=ジョゼとヘンリー・R・クラヴィス夫妻のコレクションには、ルイ14世の家具、ピエール=オーギュスト・ルノワールやクロード・モネの絵画など、錚々たる美術品が含まれている。また、夫妻が設立したマリー=ジョゼ&ヘンリー・R・クラヴィス財団は、1985年以来、芸術や健康に関連する団体に数億ドルを寄付してきた。ヘンリーは、世界有数の投資企業であるKKR(旧コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー)の共同設立者で、2022年に米フォーブス誌はその純資産を80億ドル(約1兆1600億円)と推定している。経済学者であるマリー=ジョゼは、ニューヨーク連邦準備銀行の役員を務め、新進作曲家に贈られる世界で最も権威のある賞の1つであるマリー=ジョゼ・クラヴィス賞を主宰。2005年にニューヨーク近代美術館(MoMA)の評議会議長となり、2021年には理事長に就任した。
クラヴィス夫妻は、数々の慈善活動で高く評価されている。2006年に設立したヘンリー・R・クラヴィス・プライズ・イン・ノンプロフィット・リーダーシップ賞は、慈善活動の功労者を表彰するもので、マリー=ジョゼの母校であるクレアモント・マッケナ・カレッジが運営している。ヘンリーは、低所得層の若者の学業支援を行う8年間の無料プログラム、スポンサーズ・フォー・エデュケーショナル・オポチュニティを主宰するほか、トップ 200コレクターズの仲間であるジェリー・I・スパイヤーとともに、パートナーシップ・フォー・ニューヨークの共同議長を務めたこともある。さらに、夫妻が寄付した1500万ドル(約22億円)で、マウントサイナイ・メディカルセンターに心臓血管健康センターが設立された。クラヴィス夫妻は2019年に卓越した社会貢献を称えられ、カーネギー・メダル・オブ・フィランソロピーを授与されている。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。