マリー=ジョゼ&ヘンリー・R・クラヴィス(Marie-Josée and Henry R. Kravis)
拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:金融・投資業
収集分野:18世紀フランス装飾美術、フランス・アールデコ家具、近現代アート

マリー=ジョゼとヘンリー・R・クラヴィス夫妻のコレクションには、ルイ14世の家具、ピエール=オーギュスト・ルノワールやクロード・モネの絵画など、錚々たる美術品が含まれている。また、夫妻が設立したマリー=ジョゼ&ヘンリー・R・クラヴィス財団は、1985年以来、芸術や健康に関連する団体に数億ドルを寄付してきた。
ヘンリーは、世界有数の投資企業であるKKR(旧コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー)の共同設立者で、米フォーブス誌によると、2024年11月現在の純資産は160億ドル(約2兆3300億円)と推定されている(資産額は日々更新される)。一方、経済学者であるマリー=ジョゼは、ニューヨーク連邦準備銀行の役員を務め、新進作曲家に贈られる世界で最も権威のある賞の1つであるマリー=ジョゼ・クラヴィス賞を主宰。2005年にニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事会議長となり、2021年には理事長に就任した。しかし2023年、KKRが化石燃料プロジェクトに投資していることを問題視する環境活動家たちが、クラヴィス夫妻がMoMAを後援することへの抗議を行っている。
クラヴィス夫妻による数々の慈善活動への評価は高い。たとえば、2006年に設立したヘンリー・R・クラヴィス・プライズ・イン・ノンプロフィット・リーダーシップ賞は、慈善活動の功労者を表彰するもので、マリー=ジョゼの母校であるクレアモント・マッケナ・カレッジが運営している。ヘンリーはまた、低所得層の若者の学業支援を行う8年間の無料プログラム、スポンサーズ・フォー・エデュケーショナル・オポチュニティを主宰するほか、コレクター仲間であるジェリー・I・スパイヤーとともに、パートナーシップ・フォー・ニューヨークの共同議長を務めたこともある。さらには、夫妻が寄付した1500万ドル(約22億円)で、マウントサイナイ・メディカルセンターに心臓血管健康センターが設立されている。クラヴィス夫妻は2019年にその社会貢献を称えられ、カーネギー・メダル・オブ・フィランソロピーを授与された。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。