ジョセフ・ラウ(Joseph Lau)

拠点:香港
職業:不動産業
収集分野:近現代アート(主にアンディ・ウォーホル)

米フォーブス誌によると、チャイニーズ・エステーツ・ホールディングスの会長を務める香港の不動産王、ジョセフ・ラウの2022年現在の純資産は136億ドル(約1兆9700億円)。その経済力で高額なアート作品や宝石を購入しているほか、違法な土地取引に関与したとされる。

30年以上アート収集を続けているラウは、2006年にアンディ・ウォーホルの《マオ(毛沢東)》を1740万ドル(約25億円)で落札。このシリーズの落札額記録を樹立して注目を集めた。また、2007年にはポール・ゴーギャンの《Te Poipoi》(1892)を3920万ドル(約57億円)で落札したことでも知られる。フォーブス誌は、デビッド・ホックニーなども含めたラウのコレクション総額は、約10億ドル(約1450億円)にのぼると推定している。

2014年3月、ラウは不動産取引における贈収賄とマネーロンダリングに関するマカオでの裁判で有罪になった。懲役5年の判決を受けたが、ラウは香港市民であるため、マカオに足を踏み入れない限り拘束されない。そんな中でも、ラウの買い物熱は衰えを見せていない。2015年11月、ジュネーブのクリスティーズで2850万ドル(約41億円)のピンクストーンを手にすると、翌日の夜にはサザビーズで12カラットの「ブルームーン」ダイヤモンドを4900万ドル(約71億円)で落札。その後、2017年には健康問題を理由に、財産の大半を新しい妻と息子に譲ると発表した。

ラウは資産の売却も定期的に行っている。2022年、サザビーズ香港のセールでは磁器8点を売却。オークション前のサザビーズの落札額見積り総額は1900万ドル(約28億円)だった。同年、クリスティーズにはワインコレクションの一部を出品し、800万ドル(約11億円)を超える売り上げを記録した。なお、ジョセフの弟トーマスもトップ200コレクターズに選ばれている。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。