ジョセフ・ラウ(Joseph Lau)

拠点:香港
職業:不動産業
収集分野:近現代アート(主にアンディ・ウォーホル)

チャイニーズ・エステーツ・ホールディングスの会長を務める香港の不動産王、ジョセフ・ラウの2024年11月時点の純資産を、米フォーブス誌は132億ドル(約1兆9300億円)と推定している(資産額は日々更新される)。その経済力でラウは、高額なアート作品や宝石を購入しているほか、違法な土地取引に関与したとも言われる。

30年以上アート収集を続けている彼は、2006年にアンディ・ウォーホルの《マオ(毛沢東)》を1740万ドル(約25億円)で落札。このシリーズの落札額記録を樹立して注目を集めた。また、2007年にはポール・ゴーギャンの《Te Poipoi》(1892)を3920万ドル(約57億円)で落札している。フォーブス誌は、デビッド・ホックニーなども含めたラウのコレクション総額は、約10億ドル(約1460億円)にのぼると推定している。

2014年3月、ラウは不動産取引における贈収賄とマネーロンダリングに関するマカオでの裁判で有罪になった。懲役5年の判決を受けたが、ラウは香港市民であるため、マカオに足を踏み入れない限り拘束されない。そんな中でもラウの買い物熱は衰えを見せず、2015年11月にジュネーブのクリスティーズで2850万ドル(約42億円)のピンクストーンを手にすると、翌日の夜にはサザビーズで12カラットの「ブルームーン」ダイヤモンドを4900万ドル(約72億円)で落札。その後、2017年には健康問題を理由に、財産の大半を新しい妻と息子に譲ると発表した。

ラウは資産の売却を行うこともある。たとえば、2022年にサザビーズ香港のセールに磁器8点を出品した際、オークション前の予想落札総額は1900万ドル(約28億円)だった。同年、クリスティーズにはワインコレクションの一部を出品し、800万ドル(約12億円)を超える落札額を記録した。なお、ジョセフの弟トーマスもTOP 200 COLLECORSに選ばれている。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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