リー・リン(Li Lin)

拠点:中国・杭州
職業:ファッションブランド(JNBY)
収集分野:現代アート

中国のファッションデザイナー、リー・リン(李琳)は、美術を学びたいと思っていたものの、父親から言われた通り化学の道に進んだ。業界メディアのビジネス・オブ・ファッションによると、大学卒業後2年間は化学系企業で働いたが、最終的にはファッションの世界に挑戦することを決意。1994年に中国のデザイン学院の卒業生12人を集め、自分のファッションブランドを立ち上げた。

 彼女のブランド「JNBY」(Just Naturally Be Yourselfの略)は、中国で最も認知度の高いファッションブランドの1つにまで成長し、今では市場を牽引する存在となっている。2019年現在の店舗数は全世界で1500以上(うち中国は700)で、アメリカではシアトル(2015年オープン)とサンフランシスコ(2017年オープン)に店舗がある。JNBYのほか、Croquis、Less、jnby by JNBY、Pomme de Terre、JNBYHome、Samo、Reverbなどのブランドを擁するリーの会社は上場を果たしており、2020年度の収益は4億5540万ドル(約660億円)にのぼると見られる。

 華々しい成功を収めているリーだが、自分の仕事を語るときはとても謙虚だ。2012年のイタリア版ヴォーグ誌のインタビューでは、自分を「ファッションの専門家」とはあまり思っていないと語り、自分の情熱の対象であるアートがインスピレーションの源だとしている。また、品質にとことんこだわるリーは、ヴォーグ誌に「正直なところ、利益を削ってでも良い生地を買いたい」と答えている。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。