チーチ・マリン(Cheech Marin)

拠点:アメリカ・ロサンゼルス
職業:俳優
収集分野:メキシコ系アメリカ人アーティストの作品

人気コメディアン、俳優、マリファナ愛好家としてのチーチ・マリンについて説明する必要はないだろう。ただ、彼が1980年代からチカーノアート(メキシコ系アメリカ人のアート)を多数コレクションしていることは、まだあまり知られていないかもしれない。マリンは、ギルバート・"マグー"・ルハン、カルロス・アルマラス、フランク・ロメロといった著名なチカーノアーティストをはじめとする約700点の作品を所有し、それを一般公開している。2001年から2007年にかけては、彼のコレクションから作品を集めた大型展「Chicano Visions: American Painters on the Verge」が全米12都市を巡回した。

2017年、ロサンゼルスの東にあるカリフォルニア州リバーサイド市は、マリンのコレクションを展示する常設施設、「チーチ・マリン・センター・フォー・チカーノ・アート&カルチャー」を開設するための予備計画を発表。マリンは、「親しい仲間は、単に『チーチ』と呼んでいます」と、イーライ&エディス・L・ブロードの美術館が「ザ・ブロード」と言われることを引き合いに出し、冗談混じりに語っていた。2018年にカリフォルニア州は、州予算からリバーサイド美術館に970万ドル(約14億円)の助成金を出し、リバーサイドの元公共図書館を改装してチーチ・マリン・センターを創設することを支援。2021年には、アーティスティックディレクターにマリア・エステル・フェルナンデスが指名され、2022年5月8日のオープンを発表した。

マリンは同センターの計画が発表されたときにこう語った。「私は、人生の大半を費やして収集し、保護し、可能な限り世界中の主要な美術館で展示してきた数百点の芸術作品の家になる場所を見つけることを長年夢見てきました。リバーサイド市のおかげで、この夢がついに実現したのです」


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。