ロドニー・ミラー(Rodney Miller)

拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:金融業
収集分野:近現代アート(主に黒人アーティストの作品)

ウォール街で長年活躍してきたロドニー・ミラーは、現在JPモルガン・チェースのM&A担当副会長として、数十億ドル規模の案件を数多く手掛けている。彼は1986年にシカゴ大学経営大学院でMBAを取得後、公認会計士として働き始めたが、すぐに投資銀行に転職。クレディ・スイス・ファースト・ボストン(当時)を経て2007年にJPモルガンに入社した。

大学では美術史の授業を受けたことがなかったミラーだが、90年代にサザビーズのイベントに参加したことがきっかけでアート収集に目覚めたという。ウィリアム・ゴットリーブのジャズミュージシャンの写真やウィリアム・H・ジョンソンの絵画などから始め、この25年間、ボーフォード・デラニー、ロマーレ・ビアデン、アルマ・トーマス、ヘイル・ウッドラフ、シニーク・スミス、ライル・アシュトン・ハリス、グレン・ライゴン、ローナ・シンプソン、オディリ・ドナルド・オディタ、ハンク・ウィリス・トーマス、リック・ロウといった近現代の黒人アーティストの作品をコレクションしている。

ミラーが何より大切にしているのは、フェイス・リンゴールド、レジー・シルベスター、アルテロンセ・ガンビーといったお気に入りのアーティストのスタジオを訪れることだ。「コレクターでいると、常に学びがあります」と、ミラーはUS版ARTnewsのメール取材に答えている。「アーティストを訪問するたびに、彼らの活動、インスピレーション、美術史とのつながりについて、より深く理解できるようになるのです」

ミラーは2001年からハーレムのスタジオ美術館の理事を務め、現在は同美術館の財務を担当している。金融界とアート界における公平さと包摂を長年提唱してきたミラーは、アート界が変化し続けることを望んでいるとUS版ARTnewsに語った。「さまざまな声に耳を傾けることが発展につながります。それを実現するために私たち全員がそれぞれの役割を果たすべきです」