ロドニー・ミラー(Rodney Miller)
拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:金融業
収集分野:近現代アート(主に黒人アーティストの作品)

ロドニー・ミラーは1986年にシカゴ大学経営大学院でMBAを取得後、公認会計士として働き始めたが、すぐに投資銀行へ転職。クレディ・スイス・ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)に20年間勤務したのち、2007年にJPモルガンに入社した。現在JPモルガン・チェースのM&A担当副会長として、数十億ドル規模の大規模案件を数多く手がける彼は、2021年のHistory Makers誌の取材に、「私の取引はすべて重要なものです。重要でない取引は手がけません」と冗談交じりに語っている。
大学では美術史の授業を受けたことがなかったミラーだが、1990年代にサザビーズのイベントに参加したことがきっかけでアート収集に目覚めたという。2014年に「仕事以外の時間に何か違うことをしたかった」とUS版ARTnewsに語った彼の初期のコレクションには、ウィリアム・ゴットリーブのジャズミュージシャンの写真やウィリアム・H・ジョンソンの絵画などがある。その後25年間にわたりコレクションした作家は、ボーフォード・デラニー、ロマーレ・ビアデン、アルマ・トーマス、ヘイル・ウッドラフ、シニーク・スミス、ライル・アシュトン・ハリス、グレン・ライゴン、ローナ・シンプソン、オディリ・ドナルド・オディタ、ハンク・ウィリス・トーマス、リック・ロウといった近現代の黒人アーティストたちだ。
ミラーが何より大切にしているのは、フェイス・リンゴールド、レジー・シルベスター、アルテロンセ・ガンビーといったお気に入りのアーティストのスタジオを訪れることだ。「コレクターでいると、常に学びがあります。アーティストを訪問するたびに、彼らの活動、インスピレーション、美術史とのつながりについて、より深く理解できるようになるからです」
そう語るミラーは、2001年からハーレムのスタジオ美術館の理事を務め、現在は同美術館の財務を担当。金融界とアート界における公平さと包摂性を長年提唱してきた彼は、アート界が変化し続けることを望んでいるとUS版ARTnewsに語った。「さまざまな声に耳を傾けることが発展につながります。それを実現するために私たち全員がそれぞれの役割を果たすべきです」