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丸の内へアート散歩に出かけよう! ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2023が開催

丸の内の街を舞台に繰り広げられるアート展、ART AWARD TOKYO MARUNOUCHIが、7月21日(金)から8月3日(木)にかけて今年も開催される。

行幸地下ギャラリーで展示予定の天野雛子による作品《特別な呼吸》。Photo: Courtesy of Artist

日本の芸術大学や大学院で学んだ若き才能発掘・育成アートアワードとして2007年にスタートしたART AWARD TOKYO MARUNOUCHI(以後、AATM)が、今年も開催される。同アワードは、プロのアーティストを目指す若者たちに丸の内という発表の場を提供するだけでなく、企業やビジネスパーソンが多く集まる日本有数のオフィス街に、彼らによる斬新な視点やアイデアをもたらすという意味でも、重要な役割を担ってきた。

今年は、丸ビルや新丸ビルなど、このエリアのランドマーク的な施設が会場になるのに加え、3年ぶりに「行幸地下ギャラリー」での展示も再開される。

2022年のAATMグランプリ受賞作品、池上創による《生命の息吹Ⅱ》。Photo: Courtesy of Artist

日本には様々なアートアワードがあるが、AATMがユニークなのは、何よりもその選考方法だろう。毎年、キュレーターやギャラリスト、研究者、アーティストなどの数名からなる審査員団が東京藝術大学をはじめとする全国の主要な芸術大学・美術大学・大学院の卒業修了制作展を巡り、その中からノミネート作品を選出、丸の内エリアでの展示を経て、受賞作を決定するという流れだ。過去の受賞者には、荒神明香(2007年グランプリ)、片山真理(2012年グランプリ)、中園孔二(2012年小山登美夫賞・オーディエンス賞)、ファッションデザイナーとしても注目される岡﨑龍之祐(2021年グランプリ)など、今後の日本のアートシーンを牽引していく面々が名を連ねている。

大学や地理的な垣根を越えて、現在の日本の瑞々しいクリエーションに触れられる絶好の機会であり、今年は、全国19校・165点の作品から選ばれた22点が展示される(展示作品と展示場所はアワードのウェブサイトから確認できる)。審査員は、今村 有策(東京藝術大学大学院美術研究科 教授)、木村 絵理子(弘前れんが倉庫美術館 副館長)、後藤 繁雄(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学 教授)、小山 登美夫(小山登美夫ギャラリー 代表、日本現代美術商協会 代表理事)、建畠 晢(埼玉県立近代美術館 館長)、藪前 知子(東京都美術館 学芸員)、野口 玲一(三菱一号館美術館 学芸員)の7名。

行幸地下ギャラリーで展示予定の、ささきなつみによる《リンジンの標本II - 天(てん)》《リンジンスーツ》《リンジンの標本Ⅲ - 開(かい)》。Photo: Coutesy of Artist

最終日の8月3日(木)には、グランプリほか、三菱地所賞、審査員賞、フランス大使館賞、OCA TOKYO賞、そしてオーディエンス賞(会期中、公式サイトから投票が可能)が発表される予定。グランプリと三菱地所賞には、副賞として、丸の内エリアで展示の機会が授与される。

さらに今年は、スマートフォンアプリ「PINTOR(ピントル)」と連動することにより、アーティストに作品についての質問を投げかけられたり、来場者同士で展示の感想を共有し合えるなど、よりインタラクティブにAATMを楽しめる新しい仕掛けも。生命力あふれる街路樹の緑も美しい丸の内の街並みを歩きながら、新進作家たちによる瑞々しい感性に触れに行こう。