キラン&シヴ・ナダール(Kiran and Shiv Nadar)

拠点:インド・デリー
職業:IT企業創業者、フィランソロピスト
収集分野:近現代アート、南アジア美術

2010年、6000点以上の作品を所蔵するキラン・ナダールは、夫のシヴとともにインド初の私設美術館を設立した。彼女はUS版ARTnewsの取材にこう語っている。「アートを目にすることのできる場所がほとんどないことを痛感し、私たちの社会に存在する素晴らしい芸術と文化への認識を高めることが使命であると気づいたのです。美術館を設立することで、青少年の美術教育に貢献できるようになりました」。なお、同美術館にはキランの名が冠されている。

ナダール夫妻は10年以上にわたる収集活動の中で、アート市場で見過ごされがちな東南アジアのアーティストへの支援に情熱を傾けてきた。また、今日では現代インド美術に欠かせない人物と考えられている故ナスリーン・モハメディの初回顧展も開催している。

2019年、キラン・ナダール美術館はヴェネチア・ビエンナーレのインド館の企画に関わり、世界的な注目を集めた。その直後には、ニューデリーに建設される同美術館の新館設計を、著名建築家のデイヴィッド・アジャイに依頼することを発表している。同美術館が所蔵するインド人アーティストの作品には、オークションで史上最高額を付けたものが2点ある。1つは2010年に239万ポンド(約3億9000万円)で落札されたS・H・ラザの《Saurashtra》(1983)、もう1つは2015年に409万ドル(約5億9000万円)で落札されたF・N・ソウザの《Birth》(1955)だ。キランは、「紆余曲折や偶然の出会いを楽しんでいます。アートを探し続けていると、常に新しい発見があります」と語っている。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。
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