ジェニー&セルモ・ニッセンバウム(Genny and Selmo Nissenbaum)

拠点:ブラジル・リオデジャネイロ
職業:不動産業、投資家
収集分野:ブラジル美術、ミニマリズム

2014年にジェニー・ニッセンバウムは、「長い結婚生活では夫婦に共通の趣味があるのが理想的です」とUS版ARTnewsに語っている。精神分析医としてクリニックを開業しているジェニーが言うのだから、きっと間違いないだろう。実際、何十年も連れ添ってきたニッセンバウム夫妻には、アートコレクションという共通の趣味がある。

その所蔵品には、アニッシュ・カプーア、フレッド・サンドバック、ソル・ルウィット、ジョゼ・ベシャラ、アドリアナ・ヴァレジョン、オス・ジェメオス、ヴィック・ムニーズなどの名前が並ぶ。リオデジャネイロ近郊に所有する島の別荘に飾る作品も増えており、その中にはベシャラの大型インスタレーション《Ok, Ok Let's Talk》がある。これは2脚の椅子を閉じ込めるように隙間なく並べられた26台のテーブルで構成される作品だ。

リチャード・セラ、キャロル・ボヴェ、エルズワース・ケリーなど、ニッセンバウム夫妻のコレクションの大部分は、リオデジャネイロの広大な邸宅に飾られている。ジェニーの書斎の天井から吊り下げられているのはエルネスト・ネトの彫刻で、空を飛ぶ家を描いたベシャラの作品はカウンセリングを行う部屋に飾られている。マンハッタンのアッパーイーストサイドにあるアパートメントにも、セラ、ボヴェ、ケリーの作品があるというジェニーは、「心を開放してくれるような作品を制作するアーティストが好きです」と話す。

2人はまた、美術館のパトロンとして熱心に活動。ジェニーはニューヨークのディア・アート財団の理事を務め、セルモはリオデジャネイロの美術館におけるユダヤ美術コレクションの充実を図るための支援を行っている。

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