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フランソワ・ピノー(François Pinault)

拠点:フランス・パリ
職業:ケリング会長兼CEO(ラグジュアリーブランド・コングロマリット)、オークションハウス
収集分野:現代アート

グッチやサンローラン、アレキサンダー・マックイーンなどの著名ブランドを傘下に持つラグジュアリー・ブランド・コングロマリット、ケリングを1963年に設立したのがフランソワ・ピノーだ。現在は息子のフランソワ=アンリが同社のCEOを務めている(妻は女優のサルマ・ハエック)。フランスファッション界の第一人者となったピノーは、1998年に大手オークションハウス、クリスティーズの株式の過半数を12億ドル(約1750億円)で取得。アート界にも影響力を及ぼす存在となった。

高校を中退して家業の木材業からスタートしたピノーは、自らの才覚一つで億万長者に上り詰めた。現在、彼の現代アートコレクションは世界最大級とされ、純資産は290億ドル(約4兆2300億円)と推定されている。コレクションに含まれる作家は、ダミアン・ハースト、村上隆、ウルス・フィッシャーなどビッグネーム揃いだ。

2005年、ピノーはヴェネチアの歴史的邸館建築、パラッツォグラッシを購入し、コレクションの一部を収蔵。約4年後の2009年にはヴェネチアで2つ目となる美術館、プンタ・デラ・ドガーナをオープンしたが、どちらも日本人建築家・安藤忠雄の設計で改築されている。また、2019年にパリのノートルダム大聖堂が火災に見舞われた後、彼は息子のフランソワ=アンリとともに、1億ユーロ(約160億円)を再建資金として寄付している。

ピノーの夢の1つは、ルーブル美術館の近くにもう1つ美術館を開くことだった。その夢をかなえる新しい美術館、ブルス・ドゥ・コメルスは、当初2020年6月に開館予定だったが、コロナ禍で何度か延期を余儀なくされた。しかし、ついに2021年、ヴェネチアの2つの美術館同様、安藤忠雄が改築を手がけた1億7000万ドル(約248億円)の美術館がオープン。同館には7つの展示室があり、復元された天井画で飾られたドームがそれを見下ろしている。

記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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