ローレン・パウエル・ジョブズ(Laurene Powell Jobs)
拠点:アメリカ・カリフォルニア州パロアルト
職業:テクノロジー、フィランソロピスト(Emerson Collective)
収集分野:現代アート
ローリーン・パウエル・ジョブズは、アップル・コンピュータ社の共同設立者、故スティーブ・ジョブズの夫人で実業家でもある。2011年にジョブズが癌との長い闘病生活の末に56歳で死去した後、パウエル・ジョブズは約140億ドル(約2兆円)とも言われる莫大な財産を相続。そのため、彼女は米国のハイテク業界で最も裕福な女性、地球上で6番目に裕福な女性と言われている。スティーブ・ジョブズと結婚する前は、ゴールドマン・サックスのトレーディング・ストラテジストとして働き、1990年代には自然食品会社テラヴェラを共同設立した。
現在パウエル・ジョブズは、教育や移民に関する社会改革を進めるために創設したエマーソン・コレクティブを運営している。その活動の一環として、フランス人アーティストのJRが米国とメキシコの国境の両側で作品を制作するプロジェクトを支援し、トランプ政権の強硬な移民政策を批判する声明を発表。さらに、タイム誌への寄稿でJRへの支持を表明した。
彼女はまた、DACA(若年移民に対する国外強制退去の延期措置)関連プログラムへの支援も行っている。このプログラムは、「DACA/ドリーマーズ・アウトドア・アート・プロジェクト」という写真プロジェクトの実現につながった。これは、DACAに関わる無数の人々のポートレートを集めたもので、インディアナ大学サウスベンド校で開催された。さらに2021年には、「十分な行政サービスを受けられていない地域」に焦点を当てた気候変動対策に、35億ドル(約5000億円)を投資した。
パウエル・ジョブズは、アートとテクノロジーのコラボレーションにも注力している。2020年には、メガギャラリーのペースが携わったプロジェクト、スーパーブルーの立ち上げに貢献。スーパーブルーは翌年、デジタル関連アートを中心に紹介する実験的なアートセンターをマイアミにオープンさせた。同センターでは、エス・デブリンやチームラボなどの作品が展示されている
パウエル・ジョブズは大のスポーツ好きでもあり、2017年にワシントン・ウィザーズ(NBA)、ワシントン・キャピタルズ(NHL)、ワシントン・ミスティックス(WNBA)などのオーナーであるモニュメンタル・スポーツ&エンタテインメント社の株式の約20%を取得した。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。