キム&ジョン・シャーリー(Kim and Jon Shirley)

拠点:アメリカ・ハワイ州カパルア、ワシントン州メディナ
職業:弁護士(引退)、ソフトウェア企業(引退)
収集分野:近現代アート

ジョン・シャーリーは、マイクロソフトの元社長、COO、取締役として財を成した。コレクターで慈善家、シアトル美術館(SAM)の理事長でもあるジョンは、妻のキム・リヒター・シャーリーとともに、シアトルをアートの街に変貌させようと尽力。その一例が、オリンピック彫刻公園の建設だ。ジョンは面積約2万4000平方メートルにおよぶこのプロジェクトの先頭に立ち、建設費用の寄付のほか運営のための基金を設立している。

「1995年から97年まで、私とともにTOP 200 COLLECTORSに選ばれていた亡き妻メアリーと私は、自宅の庭にある屋外彫刻のコレクションを眺めながら、このコレクションを将来どうすればいいかと話していました」と、彼は2017年にSAMのインタビューで語っている。「世界中の彫刻公園を訪れた私たちは、シアトルにもそれが必要だと考えたのです」

メアリーとジョンは、近現代アート、特にアメリカの彫刻家アレクサンダー・カルダーの熱心なコレクターだった。カルダーの巨大な据え置き型作品《Eagle》(高さ約11メートル、価値は約14億6000万円と見られている)は、2人が彫刻公園に寄付した資金で購入されている。また、シャーリーは熱烈なカーコレクターでもあり、ビンテージカーのレースにも出場している。そのコレクションには、フェラーリやアルファロメオのほか、1940年代~60年代のビンテージレースカーが並ぶ。

2020年3月、シャーリー夫妻はコロナ禍で打撃を受けたシアトル市の人々に経済的支援を提供するオール・イン・シアトル・イニシアティブに、財団を通じて寄付を行った。同イニシアティブの当初の募金目標は500万ドル(約7億3000万円)だったが、最終的には2700万ドル(約394億円)が集まっている。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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