中国の猫同伴アートイベント「ミャウジアム・ナイト」が大盛況! 約2000匹が参加、グッズ売上は20億円
上海博物館で開催中の古代エジプト展で、猫同伴を呼びかける「ミャウジアム・ナイト」を夏から秋にかけて計10回開催。いずれも限定枚数を完売する人気だった。
上海博物館で開催中の古代エジプト展「On Top of the Pyramid: The Civilization of Ancient Egypt」(2025年8月17日まで)で、夏から秋にかけての毎週土曜日に猫の同伴を許可する「ミャウジアム・ナイト」が計10回開催された。毎回200匹の猫と2000人という制限を設けたが、いずれも完売する人気だったとアートニュースペーパーが伝えた。
ミャウジアム・ナイトは、同展で猫の女神を祀るバステトの神殿に関する展示があったことがきっかけだった。このイベントの仕掛け人である同館のディレクター、シュウ・シャオボは、「古代エジプトには1700を超える神々がいましたが、猫は主要な神の1つでした」と説明する。イベント開催を、展覧会を共同開催するエジプトの文化省と観光省に伝えたところ、展示物の保護など積極的に協力してくれたという。
だが、当初は反対意見が多かった。シュウは、「このようなことを試みるのは大胆すぎるという人もいました。そして、多くの動物愛好家の方々から、猫は人前に出ることを好まず、猫同士が喧嘩する可能性があるなど猫たちのことを心配する声が多く寄せられました」と振り返る。
そこで博物館は、会場に獣医と医師を常駐させた上に救急車を外に待機させ、来場者には保険をかけるなどの対策を講じた。さらにイベント開催時には動物愛護団体から80人以上を呼んで、問題点がないか観察してもらったという。その他に行った対策として、参加猫の予防接種証明書の提示を求めたり、飼い主に猫の性格を考慮するよう呼びかけたりした。また、上海小動物保護基地のスタッフが網と厚手の手袋を用意して会場に待機し、ハーネスやベビーカーから逃げ出した猫を捕獲する準備をした。毎晩5~6匹が脱走したが、そのおかげですぐに捕獲されたという。そして、翌日に猫アレルギーを持った観客が訪れることを考慮して、イベント終了後には追加清掃を行った。
このような万全の対策の上で行われたミャウジアム・ナイトは、毎回多くの人で賑わった。8月に行われたイベントに社交的な2歳のメインクーンのパピと参加した女性は、ハーネスを繋いだパピを肩に乗せて鑑賞。「パピはとても好奇心旺盛で、全く怖がりません。また連れてきたいですね」と満足した様子だった。また、ある参加者は「とても良いアイデアです。ただ、人が多すぎます」と話した。
このイベントのおかげか、ミュージアムショップの猫グッズの売り上げが急上昇し、7月以降は1億元(約20億9000万円)という記録破りの額に達した。
上海では近年、博物館にペットを連れて行くというアイデアが広まりつつあり、市内のいくつかの私立博物館では、ベビーカーに乗るサイズの犬に限定して入館を許可する「犬の日」を開催している。シュウは、「上海には2400万人の人が住んでおり、130万匹の飼い猫がいます。近年、猫に対する認識が大きく変わり、ペットをどう受け入れ、どう一緒に暮らすかということが大きな話題となっています。ペット同伴可能なホテル、レストラン、公園も増えています。しかし、博物館に猫を連れてくることはこれまで一度もありませんでした。世界的に見ても、私たちが初めてだと思います。エジプトと中国の社会がうまく重なったのです」と説明した。
だが、博物館はもうミャウジアム・ナイトを開催しないという。このイベントを真似する博物館が現れることについてシュウは、「最初は本当にやるの? と思うでしょう(笑)。しかし、私たちは困難だったイベントをやり遂げました。しかも、これほど大規模に。人々はそれが可能であることを理解しています」と語った。