ミヨン・リー(Miyoung Lee)
拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:投資家
収集分野:現代アート
韓国系アメリカ人コレクターのミヨン・リーは、金融業界でのキャリアを経て、アートコレクションを始めた。銀行家の家に生まれ、韓国のエネルギー省や通商省で大臣を務めた元政府高官を父に持つリーは、1992年にハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得し、金融ビジネスの世界に入った。その後、ニューヨークの重要コレクターとして静かに存在感を増していった彼女は、メトロポリタン美術館、スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレム、ホイットニー美術館への作品貸し出しのほか、資金提供も行っている(ホイットニーでは理事会の副議長を務める)。
リーはこれまでいくつかのインタビューで、ハンナ・ハー、ロータス・ラング・カン、ジェス・ファン、クリスティン・サン・キムといったアジアのアーティストや、レイラ・バビリエ、カプワニ・キワンガ、ジェシー・ダーリング、ヴァージニア・オーバートン、メリコケブ・ベルハヌなどの作家を中心にコレクションしていると答えている。2021年にフリーズ・ソウルが開始されてから必ずこのアートフェアに顔を出している彼女は、アートを目的に旅する先々で韓国出身や韓国にルーツのあるアーティストの作品を探し求めるという。実際ここ数年、韓国系アーティストの知名度は上昇の一途をたどっている。最近、US版ARTnewsの取材にリーは、「韓国のアートシーンはその本領を発揮しています。韓国のアーティストたちは、まさに今が旬なのです」と語っている。
コレクションに関しては慎重派だという彼女だが、2024年9月のフリーズ誌では、これまであまり関心のなかったアーティストに関しても、一歩踏み出してみようとしていると答えている。「私の問題は、あまりにも簡単に感動してしまうことでしょう。作品を見て、キュレーターやアーティストが何を考えたのかを想像するのが好きなのです。たとえそれが私にとって美的な面で魅力のあるものでなくても」