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アールティ・ロヒア(Aarti Lohia)

拠点:イギリス・ロンドン
職業:製造業(インドラマコーポレーション)
収集分野:現代アート

インドの現代アートシーンがここ数年で急成長している背景には、アールティ・ロヒアの慈善活動がある。彼女は、現在インドで最も注目されている定期美術展、コチ=ムジリス・ビエンナーレ(ケララ州)の創設やインド芸術アーカイブ財団を支援。そのかたわら、インド国内外のアーティストの作品を200点ほど集めている。

南アジアのアーティストに注目してきたロヒアが最初に手に入れた作品は、インドネシアの著名作家であるプトゥ・スタウィジャヤの絵画で、その後、スボード・グプタ、M・F・フサイン、シルパ・グプタ、ダヤニータ・シンなど、インドを中心とする主要アーティストの作品を購入。2022年のアートネットのインタビューでは、カンボジアの作家、ソピアップ・ピッチが竹で制作した格子状の作品をソファの上に飾っていると話している。コレクションには、マンディ・エル=サイエグ、フィリダ・バーロウ、ガブリエル・オロスコなど、アジア以外を拠点とするアーティストも含まれているが、作品を選ぶ基準は自分の直感で、特別なアドバイザーはいないという。

現在ロンドンを拠点とするロヒアは、「ロンドンの南アジアコミュニティを盛り上げることが最も大切で、次にくるのがアーティストです」と、英フィナンシャル・タイムズ紙に語ったことがある。その活動の一環として、ロヒアはロンドンのナショナル・ギャラリーなどの美術館を支援。同ギャラリーはSPロヒア財団の資金援助を受け、アーティストのナリニ・マラニに2年間のフェローシップを授与した。米フォーブス誌によれば、この財団名は、アジアで最も裕福な一族の一員である義父の名前にちなんだものだ。

2022年、SPロヒア財団は1年間、ナショナル・ギャラリー近現代アートプログラムのリードパトロンになった。ロヒアはまた、テートの南アジア地域の作品取得評議会とサーペンタイン・ギャラリーの国際理事会のメンバーを務めている。

息子のソフムにチェスを教えるのに熱心な、教育ママならぬ「チェスママ」でもあるロヒアは、インドに起源があると考えられているこのゲームに敬意を表して、オロスコとマーティン・パーがチェスを題材に制作した作品を購入している。

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