ラフ・シモンズ(Raf Simons)
拠点:ベルギー・アントワープ
職業:ファッションデザイナー
収集分野:現代アート

ベルギーのファッションデザイナー、ラフ・シモンズが長年にわたり手がけてきた仕事のバックボーンにはアートがある。2017年にカルバン・クラインのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任すると間もなく、シモンズはキャンペーンビジュアルにリチャード・プリンスやダン・フレイヴィン、スターリング・ルビー、アンディ・ウォーホルの作品を登場させた。アメリカのブランドであるカルバン・クラインのルーツに敬意を表したこのコラボレーションは、アンディ・ウォーホル美術財団とのパートナーシップ締結につながっている。同財団との3年間の契約によって、シモンズはファッション業界の誰よりも深くウォーホル作品を掘り下げる機会を得たばかりでなく、そのアーカイブを活用できることになった。
その20年あまり前、シモンズは自身の名を冠したメンズウェア・ブランドを立ち上げ、ミニマルなルックで名を知られるようになった。大学で工業デザインを学んだ後、最初のコレクションを発表したのは1995年。その後、ジル サンダーのクリエイティブディレクターやディオールのアーティスティックディレクターを務め、2021年にはプラダの共同クリエイティブディレクターに就任した。
2022年、シモンズは30年近く続いた自身のブランドの終了を発表したが、現代アートが彼のアイデアに与えた影響は、このブランドの歴史に重要な役割を果たしている。建築・デザイン誌のPIN-UPによるインタビューで彼は、ベルギーのゲント現代美術館の創設者であるヤン・フートが総合コミッショナーを務めた1992年のドクメンタ9が、10代の自分にとって極めて重要な鑑賞体験になったと語っている。その後、マーティン・キッペンベルガー、シンディ・シャーマン、ヴォルフガング・ティルマンス、キャディ・ノーランド、イザ・ゲンツケン、スティーブン・シアラー、サーニャ・カンタロフスキー、アン・コリアーといったアーティストたちとの関係を深めていった、
2017年のWマガジンのインタビューでシモンズは、影響を受けたの友人の1人として、カリフォルニア在住の同世代の彫刻家、エヴァン・ホロウェイの名を挙げている。「この世代は私の心を捉えて離しません。この世代に浸ったり、少しそこから離れたり、その繰り返しです」