ピカソやレンブラントなどの贋作を美術修復工房で大量押収。イタリア捜査当局がまた偽造を摘発
レンブラント、ピカソ、ウォーホルなど、71点にのぼる有名画家の贋作が保管されていたローマ郊外の工房に対し、美術品犯罪捜査班による強制捜査が行われたと地元当局が発表した。

レンブラント・ファン・レイン、パブロ・ピカソ、アンディ・ウォーホルといった有名画家の作品を偽造していたとして、ローマ郊外にある美術修復士の工房が摘発された。英ガーディアン紙の報道によると、美術品・古美術品に関する犯罪捜査を管轄するイタリアの憲兵組織、カラビニエリの文化財保護捜査班が強制捜査を行った。
初期捜査で浮上した美術修復士に対する家宅捜索令状発行を受けた捜査班は、その工房で完成品や制作途中の絵画を押収。また、数百点の画材、美術カタログのほか、今は存在しない画廊やコレクションによる偽の鑑定書やスタンプ、偽造されたアーティストのサインなどの証拠も見つかった。
捜査班によれば、贋作はeBayやCatawiki(美術品その他収集対象物品のオークションサイト)に出品されていたという。ローマの検察局と捜査班がこれらのサイトを監視していたところ、19世紀および20世紀の画家の偽造署名がある絵画が数百点発見された。イタリアのポスト印象派マリオ・プッチーニや、イタリア未来派のジャコモ・バッラ、ベルギーのルミニズム運動の画家、アンナ・デ・ウェールトもネット販売された中に含まれていた。
この件の容疑者や共犯者の身元は明らかにされておらず、どのくらいの期間にわたり偽造が行われ、どの程度の利益を得ていたかはまだ分かっていない。
イタリアの捜査当局は、昨年末にもヨーロッパ全土で38人が関与したとされる偽造ネットワークを摘発し、押収品の推定市場価値は2億1000万ドル(約315億円)を超えることを公にした。この事件の容疑者たちはイタリアでバンクシーの展覧会を2度開催し、カタログも出版している。(翻訳:石井佳子)
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