2026年ヴェネチア・ビエンナーレのイギリス館代表はターナー賞作家のルバイナ・ヒミッド
2026年ヴェネチア・ビエンナーレのイギリス館代表に、ルバイナ・ヒミッドが選ばれた。ヒミッドはイギリスのブラック・アート運動における中心的な存在として活動し、2017年にターナー賞を受賞している。

2026年に開催される第61回ヴェネチア・ビエンナーレのイギリス館代表が、タンザニア・ザンジバル生まれで、現在はイギリスのプレストンを拠点に活動するルバイナ・ヒミッドに決定した。ヒミッドは、2017年にイギリスで最も権威のある美術賞であるターナー賞を受賞して以降、瞬く間にイギリスでもトップクラスの現代アーティストへと駆け上がった。
1980年代のイギリスにおけるブラック・アート運動で中心的な役割を果たしたヒミッドは、黒人解放を暗示するインスタレーションや、その中でもさらに周縁化された黒人女性に焦点を当てた作品を発表。イギリス国内ではブラック・アートに関する展覧会のキュレーターとしても知られ、6月29日からインスティチュート・オブ・コンテンポラリー・アーツ(ICA)ロンドンで開かれる「Connecting Thin Black Lines 1985 - 2025」では、黒人やアジア人の女性アーティストに光を当てた1985年のグループ展、「The Thin Black Lines」から40年の節目を記念した大規模展のキュレーションを行う。
また、北京のユーレンス現代芸術センター(UCCA)では、近作の絵画を含めた個展が開催中だ(4月27日まで)。これらの近作では、架空の空間にいる人物たちが、植民地主義と気候変動で荒廃した世界における再建の寓意として描かれている。
イギリス館の代表に選出されたことについて、ヒミッドは声明でこう述べた。
「2026年のヴェネチア・ビエンナーレにイギリス代表として招聘されるという素晴らしい知らせを受け取ったとき、私は信じられないという思いと喜びで思わず声を出して笑ってしまいました。これは、とても光栄なことであると同時に、特別な作品を生み出すまたとないエキサイティングなチャンスでもあります。さまざまな来場者との共鳴や複雑な歴史との対話を通じて、より協力的な未来を見据えるための場にしたいと思います」
ヴェネチア・ビエンナーレのイギリス館代表に黒人女性のアーティストが選出されるのはヒミッドが2人目で、1人目のソニア・ボイスは2022年の国別パビリオン部門で金獅子賞を受賞した。なお、2026年の同ビエンナーレでは、黒人女性として初めてコヨ・クオがメイン展示の芸術監督を務める。
イギリス館は、これまでに2026年ヴェネチア・ビエンナーレへの参加を公表した十数カ国の1つだが、2月24日の発表ではキュレーターやコンセプトなどの詳細は明らかにされていない。(翻訳:石井佳子)
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