「ベニン・ブロンズ」を万全の体制で祖国へ──ナイジェリアが略奪文化財の管理権を王から博物館に移管
ヨーロッパの大学や博物館に散らばった、アフリカで最も貴重と言われる遺物、ナイジェリアの「ベニン・ブロンズ」の祖国返還が進んでいる。その中で、ナイジェリアは遺物の回収と保管を同国の王から国立博物館・記念物委員会(NCMM)へと移管した。

ナイジェリア南部にあったベニン王国は、12世紀にエド族によって建国された。だが1897年にイギリスから侵攻を受け滅亡。その際に王室が所蔵する真鍮と青銅製の美術品「ベニン・ブロンズ」などの大量の文化財が略奪され、イギリスをはじめとするヨーロッパ各地に散らばった。近年略奪品を回収・返還する動きが活発となり、2022年にはイギリスのホーニマン博物館やドイツ政府がベニン・ブロンズを返還している。
ロイター通信によると、ベニン・ブロンズの管理は2023年の大統領令により、遺物の正当な所有者であるエド族のオバ(王)が指名されていた。だがこのほど、遺物の回収と保管はナイジェリア国立博物館記念物委員会(NCMM)へと移管されることとなった。

その理由は、ベニン王室が歴史的にこれらの遺物と深い関わりを持つものの、現時点では適切に保管するインフラを欠いているためだ。それにより、ケンブリッジ大学の考古学・人類学博物館が100点以上の遺物を返還する計画を保留にするなど、ベニン・ブロンズの返還が滞ってしまう事態も発生していた。
NCMMのオルギビレ・ホロウェイ長官は今回の移管について、「エド族の王はNCMMに、これらの遺物の展示、保存、そして返還活動を進める許可を与えました。(略奪文化財の回収に)もはや曖昧さはありません」と話した。今後、NCMMは遺物を祖国に戻す努力を継続しながら、遺物を収蔵するベニン王立博物館の設立も支援していく。ホロウェイ長官はこう続けた。
「これらの遺物の返還は、博物館での展示や保管だけが目的ではありません。私たちの尊厳を守り、1897年の略奪行為を明らかにするためでもあります」
ケンブリッジ大学との交渉は再開されたと伝えられているが、より大きな課題は依然として残っている。全ての関係者を満足させる形で、歴史的な所有権と現代の管理権をどう調和させるかという問題だ。(翻訳:編集部)
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